尿が濁っている(尿混濁)
尿が濁ることを尿混濁と言います。尿が濁っているからといって、必ずしも病気というわけではありません。しかし、なかには病気の場合もあります。排尿時の痛みや頻尿など、他の症状を伴っている場合は、膀胱炎など尿路感染症の可能性があるため、泌尿器科を受診しましょう。尿検査を調べ、異常があれば精密検査をします。
こんな病気や状態の可能性があります。
尿がにごる原因
尿が濁ることを尿混濁と言います。尿が濁っているからといって、必ずしも病気というわけではありません。しかし、なかには病気の場合もあります。排尿時の痛みや頻尿など、他の症状を伴っている場合は、膀胱炎など尿路感染症の可能性があるため、尿検査で調べます。
1. 尿路感染による膿尿
尿の通り道に細菌感染を起こすことを「尿路感染」と言います。「膀胱炎」、「急性腎盂炎」、「急性前立腺炎」(男性)などの病気がこれに該当します。
例えば「膀胱炎」で話をすると、尿の出口から入った細菌が、膀胱の粘膜に感染を起こします。すると膀胱粘膜でこれらの細菌をやっつけようと膀胱粘膜内で免疫機能が働きます。その結果、細菌と戦うために動員された「白血球」が尿のなかに出てくるようになるため、尿が濁るのです。
通常、「膀胱炎」、「急性腎盂炎」、「急性前立腺炎」いずれの尿路感染症では、尿の濁りだけではなく、排尿時の痛み、残尿感などの排尿症状を伴うことが多いです。そのような場合は、「尿検査」を行い、尿の中の「白血球」を確認します。逆に尿の濁りのみで他の症状を伴わない場合は、以下に説明の通り、あまり心配な病気出ないことが多いです。
2. 外陰部の白血球や上皮の混入
特に女性で多いことですが、「膀胱炎」や「腎盂炎」はないのに、「尿検査」で「白血球」が認められることがあります。こららは尿を採取する時に、外陰部についていた「白血球」や「皮膚の上皮細胞」(扁平上皮といいます)などが尿に混じって出てくることが原因で、特に何か病気というわけではありません。
ただし、膀胱炎でも排尿時痛の症状があまりないこともあります。すると尿の濁り、つまり尿の中の白血球が、尿路感染が原因で治療が必要なのか、外陰部からの混入で特に心配のないものなのか、区別しづらいこともあります。
そこで女性が「尿検査」で尿を採取する場合は「中間尿」の採取を心がけていただくようにしています。「中間尿」とは、排尿は始まってしばらくは採尿せずに、途中で採取した尿のことです。排尿が始まった時に外陰部の「白血球」や「皮膚の上皮細胞」が尿で洗い流されるわけです。
3. リン酸塩、シュウ酸
泌尿器科を受診された方の尿検査を顕微鏡で見ていると、時々ざらざらとした砂粒のようなものが入っている方がいます。これらは、リン酸塩やシュウ酸塩など、塩類が結晶化したものです。
リン酸、シュウ酸はホウレンソウ、ゴボウなど苦味が強い食べ物や、ココア、バター、肉など、蛋白質をたくさん食べると、尿に出てくることがあります。またこのような時に水分摂取量が少ないとこれらの物質の濃度が高まって、リン酸塩、シュウ酸塩となり結晶化するのです。
リン酸塩、シュウ酸塩自体は特に問題となるものではありません。ただし、同時に尿中のカルシウム濃度が高いと、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムの結晶がとなり、「腎結石」や「尿路結石」の原因となります。
つまり、リン酸塩やシュウ酸塩で尿が濁っている時は、結石ができやすいような食生活や生活習慣があるということになり、それらを改善した方が良いということになります。