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腎移植マニュアル 6. 生体腎移植、献腎移植  

腎移植は腎臓を提供して下さる相手(ドナー)によって2種類に分けられます。1つは生体腎移植、1つは献腎移植です。2種類あるといっても、腎臓をもらう人(レシピエント)が受ける手術や治療は、生体腎移植であっても献腎移植であっても、それほど違いはありません。

 生体腎移植は、健康な家族や親戚の誰かから、2つある腎臓のうち1つを提供してもらって行います。家族や親戚であれば誰でも良いわけではなく、6親等以内の血のつながった親戚(血族といいます)と、配偶者を含む3親等以内の配偶者側の親戚(姻族といいます)に限られています。ご両親やご祖父母さま、兄弟、配偶者などから提供をうけて生体腎移植をするのは可能ということです。アメリカなどで、友人から腎臓を提供してもらい生体腎移植が行われた話をテレビで耳にしたことがあるかもしれませんが、日本ではこれは認められていません。

 また、生体腎移植のドナーになるためには、もちろん自分自身の意思で腎臓を提供することを決めたというのが大前提であるほか、健康であることや腎臓の働きが正常であることが必要です。このように生体腎移植のために腎臓を提供するには、さまざまな条件がありますが、詳しくは「生体腎移植ドナーガイドライン」のなかで定められています。

 生体腎移植の場合、末期腎不全に近づいた方のご家族、あるいはすでに血液透析や腹膜透析をされている腎不全の方のご家族と、腎不全患者さま(腎臓をもらう人:レシピエント)と腎臓提供者(ドナー)が2人そろって病院を受診されることが多いです。

 いっぽう献腎移植というのは、生前に臓器提供の意思を表示していた方が亡くなった場合、その人から2つの腎臓を提供してもらい、1つずつそれぞれ2人の方に腎移植を行う方法です。献腎移植を受けるためには、前もって近隣の腎移植手術を行っている施設で所定の手続きを行い、日本臓器移植ネットワークに献腎移植登録を行っておく必要があります。

 献腎移植登録を行うためには、いくつかの検査を受けて腎移植を受けるための条件を満たしていることを確認した後に、登録用紙を記載して登録費用を納める必要があります。登録費用は初回登録時に30,000円、1年毎の更新料が5,000円です。1件の臓器提供があった場合、登録を行っている方の中から2名の選ばれた方が腎臓を1つずついただいて腎移植を受けられるということになります。

 献腎移植については、日本では臓器提供が欧米やアジアの諸外国と比べると少ないという現状があり、献腎移植を希望して「日本臓器移植ネットワーク」で登録を行っても、希望通りに腎移植を受けられる方は、登録されている方の中で50~100人に1人程度(正確には2019年は登録者数12505人のうち230人)、その1人も登録してから平均約15年(正確には2019年は14年9ヶ月)待っていた、という事実があります。

 生体腎移植の場合は、末期腎不全となりいよいよ腎代替療法が必要になってきた、という状況で、ドナーとなってくださる方さえいれば、現実的に取り得る選択肢のひとつとなります。しかし、献腎移植はそのような状況ですので、もしも腎移植を希望されているけどドナーとなってくださる方がいない場合は、透析療法を行いつつ「日本臓器移植ネットワーク」で献腎移植登録を行い、いつの日か献腎移植を受けることができるかもしれない、と思いつつ日々過ごしていく、という感じになります。

 冒頭で説明した通り、生体腎移植であっても献腎移植であっても腎臓をもらう人(レシピエント)が受ける手術や治療にあまり違いはありません。あえて違いをあげるとすると、阻血(そけつ)時間です。阻血時間というのは、いただく腎臓を摘出したあと移植して再び血液が流れるまでの時間のことで、このあいだ腎臓には血液が流れていない状態となっています。献腎移植の場合、提供していただいた腎臓を搬送したりする関係で、阻血時間は最低でも数時間以上となることがほとんどです。

 腎臓は割と丈夫な臓器なので、阻血時間が数時間あっても機能が回復し、やがて十分働くようになることがほとんどです。とはいえ、やはり一時的に腎臓が麻痺したような状態となることもあり、場合によっては尿が出るまでに数日かかったり、尿がすぐに出ても機能が十分に回復するまでのあいだは、1〜2週間くらい透析を行うことがあります。生体腎移植の場合は、たいてい隣の手術室で腎臓の提供手術をしているため、阻血時間は最小限のためほとんどの場合は腎移植手術が終わるまでに尿が出始めて、透析を必要とすることは通常ありません。

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