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キンタマが痛い、腫れている

男性の急所が痛かったり腫れたりするのは大人でも怖いですが、特にこどもでは気をつける必要があります。「急性陰嚢症」と呼ばれる、「急性精巣上体炎」、「精巣捻転」、「精巣垂捻転」、「精巣上体垂捻転」などの病気が起こりやすく、なかには急を要する場合もあります。恥ずかしくて病院に行くタイミングを逃がさないようにすることが大事です。

 

陰嚢内(キンタマ)が痛い、腫れている場合は、こんな病気の可能性があります

 

 ”キンタマ” は正式には「精巣」といいます。「精巣」は、「精子」を作ったり「男性ホルモン」を作るなどの働きがあり、男性にとっては非常に大事な臓器です。「精巣」は「陰嚢」の中に入っています。いわゆる ”玉袋” です。

実は、”玉袋” の中には  ”キンタマ”  以外にも「精巣上体」という「精巣」のおまけのような組織や、”キンタマ” の根っこのようにお腹の方へ伸びていく「精索」という組織もが入っています。「精索」は、「精管(せいかん)」という精子を運ぶ管や、”キンタマ” に血液を送る「動脈」、”キンタマ”  から血液を戻す「静脈」などが束ねられてできています。

 ”キンタマ” が痛い、と言う方は、必ずしも「精巣」だけが痛いわけではなく、「精巣」や「精巣上体」、「精索」などの、「陰嚢」つまり ”玉袋” の中に入っている組織のどこかが痛い、ということになります。

 

ただし「精巣上体が痛い!」と言って泌尿器科にくる方はいません。”キンタマ” が痛い!となります。「精巣」、「精巣上体」、「精索」のうち、どこが痛くても同じような痛みが出ます。男性ならわかる、急所にボールが当たった時や急所を殴られた時のような、お腹へズーンとひびくような「陰嚢」の中の重い痛みです。そこで我々泌尿器科医師は、このいわゆる ”キンタマ”の痛みを「陰嚢内容痛」と言います。

陰嚢(いんのう)内が痛む病気には、上に挙げたように、「急性精巣上体炎(きゅうせい せいそうじょうたいえん)」、「精巣捻転(せいそうねんてん)」、精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)、精巣腫瘍(せいそうしゅよう)などがあります。

 

①急性精巣上体炎

「急性精巣上体炎」は「精巣上体」に細菌が感染することで起こる病気で、尿をする時の痛み「排尿時痛」や、「発熱」を伴うことが多いです。こどもから大人まで幅広い年齢の方に起こる病気です。

急性精巣上体炎についてはこちら

 

② 精巣捻転

「精巣捻転」は、「精巣」、「精巣上体」と繋がった「精索」が「陰嚢」の中でねじれてしまう病気です。「精巣」へ血液が流れなくなり、激しく痛むことが多いです。「精巣捻転」は、緊急手術で精索のねじれを元に戻して血液の流れを回復させる必要があります。ねじれてから半日以上経っているとねじれを戻しても「精巣」の組織が「壊死(えし)」つまり腐った状態となってしまい「精巣」を摘出することもあります。こどもや思春期前後の青少年が、寝ているときに急に ”キンタマ”が痛くなる場合、この病気の可能性が高いですので、一刻も早く泌尿器科を受診してください。

 精巣捻転についてはこちら

 

③ 精巣垂捻転、精巣上体垂捻転

「精巣」やそのおまけ「精巣上体」にはさらにおまけのような「精巣垂」、「精巣上体垂」という、さらにおまけのような組織があります。ごまつぶ程度の非常に小さな組織ですが、この組織がねじれた時も ”キンタマ”が痛くなります。「精巣捻転」と区別がつきにくいことも多いですが、「精巣捻転」よりも痛みが軽いことが多いです。これもこどもに多い病気です。

 精巣垂捻転、精巣上体垂捻転についてはこちら

 

④ 精索静脈瘤

「精巣」から繋がった「精索」の中にある血管に血液がうっ滞して起こる「精索静脈瘤」は、それほど強い痛みはありませんが、「男性不妊」の原因にもなるため、手術をした方がよいこともあります。

精索静脈瘤についてはこちら

 

⑤ 精巣がん

「精巣がん」はかなり稀な病気で、通常痛みが出ることはあまりありませんが、腫瘍の内部に出血が起こったり感染を併発すると痛みを引き起こすこともあります。

精巣がんについてはこちら

 

⑤ 急性精巣炎(ムンプス精巣炎)

「ムンプス精巣炎」は、「流行耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)」、いわゆる"おたふく風邪”を引き起こす「ムンプスウィルス」というウィルスが「精巣」に感染して起こります。 こどもがおたふく風邪になっても精巣炎になることはあまりありませんが、大人がおたふく風邪になると、耳下腺炎でほっぺたが腫れた3~5日目に、「精巣」が腫れて痛みが出ます。よく「大人になってから高熱が出ると男性不妊の原因になる」と言われるのは、この「ムンプス精巣炎」が精子形成障害を起こすことがあるためです。

もっと詳しく → 急性精巣炎(ムンプス精巣炎)についてはこちら

 

⑥ 陰嚢水腫

赤ちゃんやこども、大人でも、特に痛みはないが、玉袋が水風船のようにパンパンに膨らんでくる病気としては「陰嚢水腫」が考えられます。文字通り、陰嚢のなかに水がたまる病気です。赤ちゃんやこどもでは自然に治ることも多いので、特に治療は必要がないことが多いです。大人の場合でも必ず治療が必要ではありませんが、大きくなりすぎて邪魔な場合は、針をさして水を抜いたり

もっと詳しく→ 陰嚢水腫についてはこちら


番外編 鼠径ヘルニア

また、泌尿器科の病気ではありませんが、そけいヘルニア(いわゆる脱腸)の場合も、「陰嚢内容痛」と似た症状が出ることがありますが、その場合は外科での診断、治療が必要です。

 

泌尿器科専門医 石村武志

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