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背中や腰が痛む(腎臓の痛み)

泌尿器科で担当する腰や背中の痛みは、「腎臓の痛み」です。肘を曲げ腰に手を当てた奥が腎臓です。「尿管結石」や「急性腎盂腎炎」などが原因となります。左右どちらかの腰が重い感じで始まり、たたくと響くような痛みの場合は泌尿器科を受診しましょう。もしも、姿勢や動きで出る痛みなら整形外科にかかりましょう。

目次

 

泌尿器科が担当する腰痛

「内科で腰が痛いと言ったら、泌尿器科に行きなさいと言われました」と言って泌尿器科を受診される方がいます。「腰が痛い」と言うと、ぎっくり腰や筋肉痛を思い浮かべ、「整形外科ではないの?」と思われることでしょう。これはいわゆる「言葉のアヤ」で、「腰」の指す部分がその時や人によって違うのです。

泌尿器科で担当する「腰が痛い」は、「腎臓が痛い」ということになります。「腎臓」は、腰の部分から背中に向かって、両手を肘を曲げながらあてがった辺りにあります。むしろ「背中が痛い」と言ったほうがよいかもしれません。腰痛持ちの方が同じ姿勢でいて背骨がきしむように痛かったり、背骨の周りの筋肉が体を動かす時に痛むのとは少し訳が違います。

痛みの性質としては、重だるいようなお腹の痛みが背中に回ってきているような、そんな感じです。そして痛い箇所をこぶしでトントンと叩くと痛みが響きます。多くの場合、この痛みは腎臓に尿が溜まりすぎたり、炎症を起こしたりして生じます。その際に、腎臓が腫れて表面の「腎皮膜」が突っ張ることによる「内臓の痛み」というわけです。また尿管結石の際などは、尿管に結石が擦れる痛みも混じっているかもしれません。

 

背中や腰(腎臓)が痛くなる原因

腎臓の痛み① 尿管結石

腎臓による、腰・背中の痛みで、最も痛く、また最も頻度が高いのは、尿管結石による痛みです。

尿管は、腎臓から膀胱まで尿を運ぶ細い管です。腎臓で出来た結石は「腎結石」と呼ばれますが通常痛みはごく軽いものかほとんどありません。ところが、この結石が尿管の方に流れてきて、そこで詰まると「尿管結石」と呼ばれるようになります。

これが、「世界3大疼痛」や「痛みの王様」とも呼ばれる、腰や背中の激しい痛みや血尿を引き起こします。尿管結石が痛い理由は、尿管に詰まることで壁がこすれるのもひとつです。それだけではなく、結石が詰まることで尿管の中を尿が流れなくなると、腎臓のなかの「腎盂」に尿が溜まり腫れ上がることも影響しています。さきほども説明しましたが、「腎盂」が腫れることで、腎臓の表面の「腎皮膜」が引き伸ばされるのです。

結石はやがて、数日から数週間で尿とともに自然と排泄されることが多いですが、砕石術などの治療が必要になることもあります。

尿管結石についてはこちら

 

腎臓の痛み② 腎盂尿管癌

腎臓は、尿を作る実の部分「腎実質」と、尿を貯める部分「腎盂」(じんう)で構成されます。「腎盂」はそのまま「尿管」へとつながっており、尿は「腎盂」から「尿管」の中を流れて「膀胱」まで運ばれます。「尿管」にもがんができることがあり、「尿管がん」と呼ばれます。

「尿管がん」は、尿管の流れをせき止めることで腎臓が腫れて痛みが出ることがあります。ただし、尿管結石ほど頻度が高いわけではなく、また徐々に大きくなるため、そこまで急激に腎臓が腫れるわけでもありません。ですので、痛みはそこまで激しいことはなく、何となく重だるいような気がする程度のことがむしろ多いです。なかには、全く痛みがない方もいます。

尿管がんについてはこちら

 

腎臓の痛み③ 急性腎盂腎炎

女性に多い病気ですが、男性でも急性腎盂腎炎になることはあります。尿の出口から入った細菌が、膀胱粘膜に感染すると「膀胱炎」です。女性は尿道が短く、雑菌が膀胱の中まで容易に入るため、「膀胱炎」を起こしく、それをこじらせ「急性腎盂腎炎」になりやすいのです。

「急性腎盂腎炎」では、熱が出たり、腰や背中の痛みが出ます。このような「腎臓の痛み」は、炎症により腎臓の実質が腫れ上がることで、やはり腎臓の被膜が引き伸ばされることで起こる内臓の痛みです。

急性腎盂腎炎は抗菌薬で治療します。軽症であれば飲み薬でも治りますが、重症の場合「菌血症」となり、全身に細菌がまわって命を落としかねない怖い病気です。お年寄りや糖尿病などのリスク因子のある方は入院で治療をすることもあります。

急性腎盂腎炎はこちら

 

腎臓の痛み④ 先天性腎盂尿管移行部狭窄

腎臓の「腎実質」で作られた尿は、尿を貯める部分「腎盂」に一旦たまります。「腎盂」はそのまま「尿管」へとつながっているのですが、この境界部分である「腎盂尿管移行部」が生まれつき細い方がいらっしゃいます。程度によっては、子供の頃に手術が必要になったりすることもありますが、細いだけで尿はなんとか流れていれば、特に症状が出ず、まったく気づかずに大人になることもよくあります。

「腎盂尿管移行部」が細いと、その部分を尿が流れるのに多少は抵抗がかかるため、「腎盂」が少し腫れ気味となることが多いです。ただし、長い時間をかけて少しずつ腫れた腎盂の場合、あまり痛みは出ません。

ところが、大人になり何かの拍子で、急に腎盂の腫れの程度がひどくなり痛みが出ることがあります。またそのような方が病院で検査をしてみると、実は尿の流れが長年悪かった影響でで、腎臓の働き自体が少し悪くなりかけていることがあります。

このような場合は、狭くなった「腎盂尿管移行部」を、手術でひろげる治療が必要となることがあります。「ビールをたくさん飲むと左右どちらかのこちら痛くなる」などの症状がある方は、もしかするとこの病気かもしれません。一度泌尿器科を受診してみましょう。

泌尿器科専門医 石村武志

 

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