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腎結石

腎臓は、左右の腰にあり尿を作っています。腎臓にできる石のことを腎結石といいます。血尿の原因になることがありますが、よほど大きくならないと痛みは通常出ません。1cm以上になると治療をしたほうがよいことがあります。

 

腎結石とは

「腎臓」は、左右の腰のあたりにある握りこぶしくらいの大きさの臓器です。血液中の老廃物や余分な水分から「尿」を作り排泄する働きがあります。

「腎臓」の中でも尿を作っているいわゆる「実」の部分を「腎実質」(じんじっしつ)、「腎実質」で作られた尿が最初に流れてくる部分を「腎杯」(じんぱい)、そのあと尿ををためておく部分を「腎盂」(じんう)といいます。

「腎臓」の中の「腎実質」で作られた尿は「腎盂(じんう)」に一旦たまった後、「尿管」という細い管の中を流れて、下腹部にある「膀胱」にたまります。

「腎臓」の中で、「腎実質」、「腎杯」、「腎盂」に出来る「石」のことを「腎結石」といいます。「腎結石」は20歳代〜50歳代の比較的若い年齢の方に多く、やや男性に多いと言われていますが、女性にももちろん出来ます。

「肥満」や「痛風」(高尿酸結症)、糖尿病などの生活習慣病のある方は「腎結石」が出来やすいと言われています。また、普段から水分摂取が少なく尿が濃い方なども「腎結石」が出来やすいと言われています。

なお、この「腎結石」が尿と一緒に「尿管」の中に流れてきて落ち込むと、「尿管結石」と呼ばれるようになります。「尿管」はかなり細い管ですので、落ちてきた結石が「尿管」の中でこすれてキズをつけたり、詰まってしまって尿が流れなくなると、左右どちらかの腰や背中、下腹部に激しい痛みが出ます。

一方、「腎結石」の段階で見つかる場合は、まれに血尿の原因になりますが、よほど大きくならない限り痛みなどの症状を引き起こすことはあまりありません。よって1cm未満で見つかり特に症状がない場合は定期検診だけしておけば、特に治療が必要でないこともあります。

ただし1cm以上となると、もしも「尿管」の方に流れてきて「尿管結石」となった場合に、尿と一緒に体外へ自然と流れ出てしまう確率が低くなります。そこで「腎臓」の中にあるうちに「体外衝撃波結石破砕術」などで治療したほうがよいと言われています。

またさらに大きくなってくると「腎臓」の中にあっても腰のあたりが重いような痛みが出ることもありますし、「腎盂腎炎」となり「血尿」や「発熱」の原因となることもあるため、この時も治療が必要です。

2〜3cm以上の大きな「腎結石」は、「体外衝撃波結石破砕術」で治療をすると何度も繰り返し治療が必要になります。また割れた結石の破片が非常に多いため尿管に詰まってしまうことも多く、「経皮的腎結石破砕術」などで治療したほうがよいことがあります。

なお、「尿管結石」とよく似た言葉に「尿路結石」というものがあります。「尿路」というのは尿の通り道である「腎臓」、「尿管」、「膀胱」、「尿道」の全体をさします。よって「尿路結石」というのは、ここで説明している「尿管結石」のほか「腎結石」、「膀胱結石」を含む病気のことです。

 

腎結石の症状

「腎結石」は、実はあまり症状がないことが多いです。まれに血尿の原因になりますが、よほど大きくならない限り痛みを引き起こすことはあまりありません。

よって1cm未満で見つかり特に症状がない場合は定期検診だけしておけば、特に治療が必要でないこともあります。

ただし、「腎結石」が何かの表紙で「尿管」に落ちてくると「尿管結石」となって、「仙痛発作」と言われる、左右どちらかの腰、背中、脇腹から横腹にかけての激しい痛みが出るので注意が必要です。

また「腎結石」であっても、1〜3cmを超える大きさになってくると、血尿などの症状が出る頻度も増えます。場合によっては背中や腰の重だるいような痛みを生じることもあります。

なかには「腎盂」を充満するかたちで鋳型のように、4〜5cmくらいまで大きくなることもあります。このような結石は、その形から「さんご状結石」などと呼ばれます。

まれにこのような大きい結石をお持ちの方に出くわしますが、話を聞くとやはりあまり強い症状はないことが多いようです。逆に症状がないからこそ、ここまで育つまで気がつかないということもあるのかもしれません。

ただし、大きな結石には細菌が付着していることも多く、その影響で「腎盂腎炎」を発症し「腰背部痛」や「発熱」が出て、それがきっかけで「さんご状結石」に気づくこともあります。

 

腎結石の診断、検査

「腎結石」の診断は、「尿検査」、「超音波検査」(エコー)、「レントゲン」、「腹部CT」で診断します。

腎結石をお持ちの方は、普段自分自身では目で見てわかるような血尿に気づくことがなくても、「尿検査」で顕微鏡を使って尿を観察すると、わずかに「血尿」を認めることがあります。

逆に健康診断などえ「尿潜血」を言われ病院に来られる方のうち、比較的若い方では詳しく調べると「腎結石」があった、ということもよくあります。

「超音波検査」(エコー)ではあまり鮮明な画像ではありませんが、腎臓にある結石は白く写ります。また硬い結石は腹部エコーで影を引くようにうつるため、よりはっきりわかります。

「腎結石」はカルシウムを主成分とすることが多いため、「レントゲン」では骨と同じように白く写ります。

ただし、腸管のガスや骨と重なっていたり結石が小さかったりするとと見えにくてわからないこともよくあります。

また、レントゲンに写る白い影は「尿管結石」以外にも、固くなり「石灰化」を起こした「血管」や「軟骨」など「尿管結石」と紛らわしい影も多く映っています。

必ずしも白い影が「尿管結石」と言い切れないことも多く、その判断は難しいことも多いです。また何より、「尿管結石」の成分によってはレントゲンには写らないものもあります。

「CT検査」は、「腎結石」がもっともはっきりと写る検査です。非常に小さな結石や「腹部レントゲン」では写らないような成分の結石でもほぼ必ず写ります。

ただし、もちろん費用の負担がかかることと、何度も撮影することでX線の被曝量も増えるため、「尿検査」、「腹部超音波」(腹部エコー)、「レントゲン」などで確証が得られない時に最終的に行う検査です。

「腎結石」や「尿管結石」を何度も繰り返している方の中に、例えば血液中のカルシウム濃度を上げるホルモンが異常に分泌される特殊な病気の方や、特殊な成分の結石ができやすい体質の方がいらっしゃいます。そのような可能性のある方では、「採血検査」を行って血液中のカルシウムやホルモンの値を測定することもあります。

 

腎結石の治療

1cm未満の「腎結石」で、特に症状がない場合は、見つかった時点では必ずしも治療が必要ではないことが多いです。

もちろん定期的に受診をして、「レントゲン」や「腹部超音波」で、「腎結石」が大きくなっていないか、新しい「腎結石」ができてないか、などをチェックする必要はあります。

また「腎結石」が何かの拍子で「尿管」に落ちてくると「尿管結石」となって、「仙痛発作」と言われる、左右どちらかの腰、背中、脇腹から横腹にかけての激しい痛みが出ます。

経過観察をしている間に、このような症状が出るかもしれないと、普段から知っておくことが重要です。

「腎結石」が1cm以上の大きさなら治療をした方が良いことがあります。このくらいの大きさの「腎結石」がもしも「尿管」の方に流れてきて「尿管結石」となった場合は、小さな「尿管結石」と違って尿と一緒に体外へ自然と流れ出てしまう可能性は見込めません。

よって、「腎臓」の中にあるうちに「体外衝撃波結石破砕術」などで治療したほうがよいと言われています。体外衝撃波という治療機械で結石を細かく砕いたり内視鏡で結石を割ったりします。

2〜3cm以上の大きな「腎結石」は、「体外衝撃波結石破砕術」で治療をすると何度も繰り返し治療が必要になったり、割れた結石の破片が非常に多いため尿管に詰まってしまうことも多く、「経皮的腎結石破砕術」などで治療したほうがよいこともあります。

 

腎結石の予防、注意点

腎結石の成分は全て同じではありません。8割程度が「シュウ酸カルシウム」や「リン酸カルシウム」というカルシウムを主成分としており、これらの結石は何か特別な予防薬などはありません。

ただし、高尿酸血症や肥満などの生活習慣病があると体質的に結石ができやすくなるので、第一の予防は生活習慣病の管理ということになります。

そして第二の予防は脱水にならないように普段から心がけることです。毎年、夏の暑い時期になると「尿管結石」による「仙痛発作」に苦しんで救急で病院に運ばれてくる方が増えます。

おそらく一時的に非常に強い脱水状態になると尿がとても濃くなり、あっというまに結石ができるのではないかと思っています。夏の暑い日に屋外で作業をするときなど、出来るだけこまめに水分を摂取しましょう。

また、「腎結石」のなかには「シスチン結石」という特殊なものもあります。「シスチン結石」は、生まれつきの体質のせいで、尿の中の「シスチン」という物質の濃度が非常に高くなりできる結石で、薬を飲むことで結石を溶かしたり予防することが可能です。

逆に「シスチン結石」以外の結石で、結石を溶かしたり予防に有効な薬はありません。よって、もしも「腎結石」で治療をした場合は割れて出てきた結石の一部を「結石分析」という検査に提出して成分を調べるようにしています。

 

泌尿器科専門医 石村武志

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