メニュー

包茎

おちんちんの皮がかぶっていることを包茎といいます。小中学生くらいまでの男の子はほとんど包茎ですので治療の必要はありません。大人になってからも、包茎の場合でどうしても手術が必要な状況というのは、真性包茎などごく一部です。ただし、大人の包茎手術は、美容的な意味合いもあり、最終的には自分の決断が正しいと言えるでしょう。

目次

 

「包茎」とは

「包茎」、、マイナスイメージをお持ちでしょうか? だれがこのイメージを作り上げたのでしょうか? 実はそんなことはないんです。こどもでも大人でも、本当に治療が必要な「包茎」は本当にごく一部です。

でも、やっぱりムケムケがいい、と思って手術をする人はいますし、それで人生が変わるなら手術はするべきかなあ、と個人的には思います。そんな方でも、まずはこれを最後まで読んでから決断するのでも遅くはないと思います。長文ですが、ぜひ最後まで読んでいただけると、少しでも考え方が変わるかもしれません。

 

まず、「包茎」とはなんでしょう。「陰茎」つまり ”おちんちん” の先端の「亀頭」と言われる部分が、「包皮」つまり ”皮” を被っている状態のことを言います。

普段は皮をかぶっているけど、手を使って簡単に皮をむくことができるのを「仮性包茎」、「包皮口」つまり “おちんちんの先端の方で皮に空いた穴の部分” が狭いために、手で皮をむいて亀頭を露出できない状態のことを「真性包茎」と言います。

男の子や大人の男性ならだいたい説明の意味がわかると思います。しかし、小さい男の子のお母さんなど、そもそも「皮がむける?」、「手でむく?」と、なんのことかさっぱりわからず、これから先の説明に若干ついて来れない可能性があります。そこで、以下の図で「皮をかぶっている」、「皮がむけている」、「手でかぶせたりむいたりできる」というのはどういうことかをイメージしてください。

 

次に男子の成長と包茎の関係を説明していきます。男の子の赤ちゃんはほぼ全員が「仮性包茎」もしくは「真性包茎」です。もし「真性包茎」で、皮が全くむけなくても大丈夫です。幼児期、学童期と成長するにともなって、おちんちんの皮はだんだんよく伸びるようになってきて、手でむこうと思えばむける「仮性包茎」となります。思春期がくるまで、つまり少なくとも小学生の間は、「包茎」は仮性でも真性でもほとんど問題ありません。皮がむけない、包茎だ、という理由だけでは、手術や特別な治療は不要ということです。

ただし、あまりに包皮の先端の穴が狭すぎるため、おしっこをするときに皮の中におしっこがたまって風船のように膨らんでしまう場合は受診が必要です。また、包茎が原因で不潔になり「亀頭包皮炎」を起こして亀頭や包皮が赤く腫れてしまっている場合は病院を受診する必要があります。

 

高校生以上、つまり思春期を過ぎて第二次性徴時期になると、男性ホルモンの働きで「亀頭」や「陰茎」が発達しおちんちんの皮もさらに軟らかく伸びやすくなります。人によっては何もしなくても普段からおちんちんの皮がむけており、常に亀頭が露出しているようになります。このような状態がいわゆる 「包茎ではない」(ムケムケ)状態です。ただし思春期を過ぎても、実は半数以上の方が「仮性包茎」のままで、また一部の方は「真性包茎」のままです。つまり「仮性包茎」が多数派なのです。

あえて言い切ると「ムケムケ」よりも「仮性包茎」が、医学的、解剖学的に「普通」と言えるんではないでしょうか。(少し言い過ぎかもしれません。。少なくとも医学書には書いていません)おそらく、子孫を残すために「仮性包茎」が何らかの理由で最も有利だったからこそ、自然淘汰のなかで「仮性包茎」が多数派になったのだと私は考えます。(これは完全な私見です、、)

「俺は包茎ではない」という人であっても、皮を被せようと思えば亀頭の先端が隠れるくらいは皮が余っています。そうでないと勃起した時に余裕がなさすぎて皮が突っ張ってしまうからです。単に普段から「むき癖」がつき、亀頭のカリの部分に少し余った皮が引っかかってかぶらないようになっている、というだけのことなのです。

というわけで、ほとんどの「仮性包茎」は「ムケムケ」と比べても、皮のあまり具合の程度問題だけなのです。決して病気ではないため、ほとんどの場合は手術は必要ありません。

 

「仮性包茎は普通」だ、と説明してきましたが、ひとつだけ注意が必要なことがあります。皮をむくときに包皮の先端(包皮口)が狭く少し亀頭が締め付けられるような感じになったりする場合です。つまりぎりぎり「真性包茎」ではない「仮性包茎」、とでも言えるでしょうか。

このような方の場合、皮をむく時に少し無理をして細い部分を亀頭を押し出すような形になると思います。すぐに戻せば大丈夫なのですが、長時間むいたままにしておくと、むけた皮が亀頭のカリの部分に引っかかって少しずつむくんできて、むいた時よりも包皮口が細くなります。するとむいたはよいが元通りかぶせることができなくなるのです。やがて、血液やリンパの流れがさらに悪くなりむいた皮がだんだんと腫れてくることでおちんちんに痛みが出ます。

この状態を「嵌頓(かんとん)包茎」といい、亀頭の下の部分でむいた皮がどんどん腫れることで、元通り被せることができなくなるわけです。おちんちんはさながらエリマキトカゲ、あるいはネックウォーマーを巻いたような形となってしまいます。こうなると緊急で泌尿器科を受診して、無理やり手で皮を元通りにかぶせるか、手術が必要になります。

 

では、「真性包茎」はでどうでしょう。包皮口が狭すぎて皮を剥くことができない「真性包茎」の場合でも、感染を繰り返すなどのトラブルがなければ、必ずしも手術が必要というわけではありません。

ただし「真性包茎」は、清潔が保てなかったり、一部の方で陰茎癌の危険性が高まると言われています。「真性包茎」の場合は、手術を受けるのに健康保険が適用されます。医学的に治療が必要と判断されているということなのでしょう。

 

包茎の症状

先ほども軽く説明しましたが、「包茎」には「仮性包茎」と「真性包茎」そして特殊な状況として「嵌頓包茎」があります。

普段は皮をかぶっているけど、手を使って簡単に皮をむくことができるのを「仮性包茎」と言います。「包皮口」つまり皮の先端部分 の穴が狭く、皮をむいて亀頭が出すことが全くできない状態を「真性包茎」と言います。

 

つまり、おちんちんの状態には、①包茎でない(ムケムケ)、②仮性包茎、③真性包茎、の3段階があるということになります。3段階の違いは、包皮の先端の穴の大きさと、余っている皮の長さによる、というわけです。

 

では、「嵌頓(かんとん)包茎」とは何かというと、これら3段階とは違う特殊な状態です。「嵌頓包茎」は、「仮性包茎」の人にしか起こりません。なかでも、包皮口が少し狭めでやや「真性包茎」寄りの「仮性包茎」の方に起こります。皮をむいたときに少し亀頭の首が締め付けられるような感じがする方は注意が必要です。

むいた皮をそのままにしておくと、亀頭の下部を「包皮」が締めつけることで、血液やリンパの流れが悪くなります。すると、むいた皮がだんだんと腫れてきてさらに亀頭や包皮自体を締めつけて、どんどん痛く腫れ上がります。こうなると、痛みを堪えて無理やり手で皮を元通りにかぶせるか、手術をするしか対処がなくなります。

 

また、主にこどもの「真性包茎」の程度により、以下のような症状が出ることがあります。その場合は積極的に治療をした方が良いこともありますので、ご相談ください。

 

①排尿時の包皮のふくらみ 包皮口が狭すぎて針の穴のようだと、排尿時に包皮内に尿が溜まっておちんちんの先端が風船状にふくらむことがあります。バルーニング現象と呼ばれたりします。おしっこが飛び散りやすいということはありますが、健康を害することはあまりありません。ただし程度によっては治療が必要となることもあります。

 

②亀頭包皮炎 おちんちんの先端の皮が赤く腫れて痛がる、ということは割とよくあります。陰茎自体も赤く腫れ上がり、場合により膿が出たりおしっこをする時の痛がったりします。この様な状態を亀頭包皮炎と呼びます。亀頭包皮炎は、包茎でなくても不潔な手でおちんちんを触るとなったりしますが、包茎の場合はなりやすいです。ほとんどは塗りでよくなりますが、あまりに何度も繰り返す場合には包茎に対する治療を考えます。

 

③閉塞性乾燥性包皮炎 亀頭包皮炎を繰り返したりすることで包皮が白く固くなってしまうことがあります。これを閉塞性乾燥性包皮炎といいます。こうなると成長とともに自然とむけるようになるのが難しくなり手術が必要になることがあります。

 

④恥垢(ちこう) おちんちんの先の方で亀頭に皮がかぶっている部分の下に、黄色いかたまりが透けて見えることがあります。これは包皮と亀頭からの分泌物であり恥垢(ちこう)と呼びます。なんとなく不潔な印象があり、取り除かないといけないと思われるかもしれません。しかし、恥垢(ちこう)には細菌などはついておらず、成長と共に包皮がむけてくると自然に排出されるので特別な処置は必要ありません。

 

包茎の診断、検査

包茎の診断に特別な検査は必要ありません。まずは、おちんちんの診察をして、包皮を翻転できるかどうか、つまり”皮”がむけるかどうかを確認します。次に先ほど挙げたような症状がないかどうかを問診します。

 

包茎の治療

①小学生以下

生まれたばかりの男の子の赤ちゃんの大部分が「真性包茎」です。つまり皮をむこうと思ってもむけない状態です。やがて、幼児期、小学生、と成長すると、自然におちんちんの皮が柔らかく伸びるようになってきて、半分くらいのお子さんは手でむこうと思えばむけるようになってきます。

ただそうはいっても、意識してむかなければ普段は皮をかぶっているというお子さんがほとんどです。お父さんは小学校のときのプールの着替えのことを思い出してください。クラスの中でもおちんちんが普段から完全にむけている人はむしろ少数派だったと思います。少なくとも小学校を卒業するまでは、「包茎」は仮性でも真性でもほとんど問題ありません。皮がむけない、包茎だ、という理由だけでは、手術や特別な治療は不要ということです。

ただし、小学生以下であっても、例えば包皮口(皮の先っぽの出口)が狭すぎるため、排尿時に皮の中におしっこがたまって風船のように膨らんでしまう場合や、包茎が原因で亀頭や包皮が炎症を起こして赤く腫れてしまい「亀頭包皮炎」を起こしている場合などは病院を受診する必要があります。

「むきむき体操」というものがあります。赤ちゃんの頃から毎日少しずつ、無理をしない程度にできるところまで皮をむくような習慣をつけていると、包茎だったおちんちんの皮がだんだんむけるようになる、というものです。個人的にはやってもやらなくてもどちらでもよいと思います。確かにこれにより皮が少しずつ伸びてむけるようになることはあると思います。人間の皮膚というのは毎日少しずつひっぱることで伸びる性質があるためです。ただし、小さい頃から痛がるのに無理やりこれをすればたぶんトラウマになってしまうことでしょう。

どうしても将来のために今のうちにむけるようにしておいてあげたい、という親御さまもいます。「むきむき体操」の際に、同時にステロイドホルモン含有軟膏を使用してもよいでしょう。

包皮をおちんちんの根元へゆっくりずり下げて、これ以上むけなくなった狭い部分へステロイドホルモン含有軟膏を朝晩2回塗ります。1〜2ヶ月続けるとだいたいむけるようになります。特に必要ではないのですが、副作用も少ないため希望される方には処方します。ただし、きついのに無理やり皮をむいてそのままにしておくと「嵌頓包茎」になり、それこそ緊急手術が必要となる可能性もあります。

このように、「むきむき体操」は、本人が嫌がらず痛くないのであればやっても悪くはないと思います。毎日お風呂でむいて軽く洗ってあげることで清潔が保たれます。また、これをすることで皮が伸びてむけるようになることは、実際にあると思います。ただし、必ずしないといけないわけでは決してなく、痛がるならやめておいた方がよいと思います。

 

②中学生、高校生

 

中学生から高校生くらいにかけて第二次性徴期を迎えると、亀頭や陰茎が大きくなると同時に、さらに皮が伸びてむけやすくなります。思春期になると第二次性徴で声変わりが起きたり、体格ががっちりしてきたりしますよね?これは、第二次性徴期に男性ホルモンが分泌されることが影響しています。男性ホルモンには、陰茎や陰嚢の皮膚を伸ばして柔らかくする作用があります。

あかちゃんのおちんちんや玉袋の皮膚は、お腹や足の皮膚と割と同じような色をしていますよね?でもおじいさんのおちんちんや玉袋の皮膚はやや茶色っぽい色をしていて、お腹などの皮膚の色と違います。そしておじいさんのキンタマはこどもと違って、ぶら〜んと垂れ下がっていると思います。これは男性ホルモンの影響を受けておちんちんや玉袋の皮膚が伸びて柔らかくなったからなんです。というわけで思春期を超えると、9割以上の人が皮をむこうと思えばむける状態になります。ただし第二次性徴が訪れる時期には個人差があります。

ただ、それでも”むこうと思えばむける”だけで、普段は皮をかぶっている状態、つまり「仮性包茎」の人がほとんどです。逆に、「皮をかぶせようと思っても余っている皮が少なくて自然とむけてきてしまう」場合は「包茎でない、ズルむけ状態」と言えます。このような人は、実は1割くらいしかいないと言われています。そして1部の方が大人になっても「真性包茎」、つまり”むこうと思ってもむけない”状態のままです。「真性包茎」の方も全体の1割くらいではないかと言われています。

 

思春期を過ぎても真性包茎の人がいれば、それこそ「むきむき体操」のような感じで、ステロイド軟膏を塗りながら、毎日少しずつ剝ける範囲を広げていくのは良いかもしれません。人間の皮膚というのは毎日引っ張っていれば必ず多少は伸びていきます。世界中を見渡すと、下のおじさんのように、耳にコインのような大きなピアスをはめていたりするのをみたことがあると思います。妊婦さんのお腹は赤ちゃんと羊水でとても大きくなります。これにも多少ステロイドホルモンが関係して皮膚を柔らかくして、少しずつ皮膚が伸びていっているわけです。

むきむき体操(?) 包茎矯正のセルフトレーニングはこちら

 

さて、「真性包茎」は何かと不便なことがあったり、実際包皮炎を起こしやすかったり、稀ですが「陰茎癌」の原因になったりすると言われています。そこで、上に書いたような方法でむけていかない場合は手術をした方が良いと思っています。問題は、「仮性包茎」で悩める世の中の男性です。

「包茎でない人は1〜2割しかいないなんて嘘だ!銭湯にいくとみんなムケムケだ!』と思う人もいるかもしれません。これには実は種明かしがあります。普段むけているように見える人でも、皮を被せようと思えば亀頭の先端が隠れるくらいは皮が余っている方が多く、単に普段から「むき癖」がついており亀頭のカリの部分に皮が引っかかってかぶらないようになっている、というだけのことがよくあります。

だいたい、包茎を気にしている人はあまり銭湯には行きません。行ってもおちんちんを隠すことが多いのです。というわけで、銭湯に来ている大人は全員ズルムケだ、と思い込み、風呂上がりに週刊誌を見ます。するとあの広告が、、となるのです。これは何か特別なデータに基づいてお話しをしているわけではなく、あくまで私の予想です。しかし職業柄、不特定多数のおちんちんを拝見することが多いです。すると、どう考えても銭湯でズルムケの人の割合と診察の時にズルムケの人の割合は、銭湯の方が多いんです。


③大人

そんなことを言っても、本人にとっては悩みは深刻なことも多いです。そこにきて、必要以上にのデメリットを強調するような情報が巷には溢れています。これにあおられて、非常に高額な手術費用を支払って「仮性包茎」の手術を受ける方もいます。「仮性包茎」は病気ではないため健康保険が適用されず自由診療となるためです。

もちろん、それにより得られる満足感は自分自身にしかわからないことですので、正しい情報を知ったうえで、それでも自分は「仮性包茎」の手術を受けたい、という方は、それで決して間違っていることはないと思います。仮性包茎に対してコンプレックスを持ってしまい、微妙に性機能や性行動に影響が出てしまうことも十分あり得るかとは思うからです。

また仮性包茎の手術は、ある意味、美容的な側面もあるかと思います。大人になればお金を自分で稼ぐようになり、そのお金をどのように使うかは自由となります。二重まぶたを手に入れるためのプチ整形をそこまで批判する人は、今のご時世いないんではないかと思います。医学的、社会的には、「仮性包茎」の手術もそれと同じ感覚ではないでしょうか。自分自身の満足のために手術をするのは決して間違いではないでしょう。当院で手術はしておりませんが、自分は本当に手術をした方がよいかなど悩んでいる方は相談に乗ります。

「自分自身では判断できない」「自分のこどもが治療が本当に必要ないのか、不安だ」という方は、いつでも受診してください。

 

包茎の注意点

やはり注意が必要なのは、「嵌頓包茎」です。仮性包茎でも、皮を剥くときに包皮の先端(包皮口)が狭く少し亀頭が締め付けられるような感じのする方は要注意です。むけた皮が亀頭のカリの部分に引っかかって元通りかぶせることができなくなることもあります。やがて、血液やリンパの流れが悪くなりむいた皮がだんだんと腫れてくることでおちんちんに痛みが出たりします。ひどくなると腫れた皮が、”エリマキトカゲ” の襟のような状態となってしまいます。この状態を「嵌頓包茎」といいます。治療としては、とにかく無理やりでも皮を元通りにかぶせるしかありません。いちおう、表面麻酔のゼリーを使ったりしますが、はっきり言って、、地獄です。そして、もしそれで元に戻らなければ手術が必要になります。 

 

かといって、包皮の先端が狭い方は皮をむいたらいけないというわけでは決してありません。よほど無理をしてむかなければ、すぐに元通り皮をかぶせることで「嵌頓包茎」になることはまずありません。それこそ「むきむき体操」ではありませんが、むいたり戻したりを毎日しておくと、だんだんと簡単にむけるようになってきます。中学生以上で包皮口がやや狭めの「仮性包茎」の方などは、必ず元に戻すことを前提で「剥き癖」をつけておくのは、たぶんいいことなんではないかと思っています。

 

神戸市東灘区 摂津本山 いしむら腎泌尿器科クリニック院長

泌尿器科専門医 石村武志

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME