尿流量検査
尿流量検査は、尿の勢いが弱くなる「前立腺肥大症」などの病気の方に行う検査です。専用容器の中におしっこをすると、センサーが読み取り尿の勢いが数値として客観的にわかります。当院では、日常生活で排尿をする時と同じような環境を整えることで、より自然な排尿をうながし、正確な検査結果が得られるように、洋式トイレタイプの検査機械を導入しています。
目次
尿流量検査とは
「尿流量検査」は、「ウロフローメトリー」や「UFM」とも言われます。患者さまには「尿の勢いを調べる検査」と説明することがほとんどです。
尿をためるための「うつわ状」の器械に向かって排尿をすると、尿の勢いを測定してくれる原理になっています。
結果は「1秒あたり何mlの尿が出ているか」を表すグラフと数字で表されます。当然、尿の勢いがよければ数字は大きくなりますし、勢いが弱ければ数字は小さくなります。
また勢いのよい排尿が最後まで続くのか、最後の方はだんだんと弱くなって途切れ途切れになるのか、全てで終わるまでどのくらい時間がかかったのかなども、グラフを見ることで把握できます。
尿流量検査が必要な疾患
泌尿器科では尿の勢いが弱くなる病気がたくさんあります。その中でも、代表的なものが「前立腺肥大症」と「神経因性膀胱」です。
尿の勢いが弱いとクリニックを受診される方には、まず問診を行います。その症状でどのくらい困っているかというご自身の感覚が最も重要だと思っています。
一方で、症状の程度を客観的に知ることも重要です。そのために、国際前立腺症状スコア(IPSS)などの専用問診を用いて、症状の重症度を点数化して判断します。
そして次に、この「尿流量検査」を行い、実際どの程度尿の勢いが弱いかを検査値として把握するわけです。
「尿流量検査」には以下のようなメリットがあります。
- 全く痛みなく排尿状態を確認できる
- 数分で検査が終わる
- 客観的に排尿状態を確認できる
- 治療の効果が目に見えてわかる
一方、「尿流量検査」の注意点として、以下のようなものがあります。
- 尿が溜まっていないとできない
- 検尿のあとでは検査ができない
- 緊張でいつも通り排尿ができない
そこで、この検査を行う際には、以下の通りのご説明をします。検査を受ける方はよくお読みください。
尿流量検査を予定されたら
次回の診察時に「尿流量検査」を行うことが決まったとします。
その場合は、お会計の時に「次回の受診時は、尿を溜めたて来てください。来院したら、尿の勢いの検査があると受付でお伝えください。」という説明用紙をお渡しします。
「尿流量検査」の際に排尿をしてしまうと、当日は検尿が出せなくなります。
そこで、次回「尿流量検査」を予定された場合、お会計の際に小さな容器をお渡しします。
「次回受診の際には、この容器に自宅で採取した尿を入れてきてください」という説明用紙の内容に従ってください。
尿流量検査の当日
従来、この検査はいかにも検査機械という見た目の装置を、処置室などに設置して行われてきました。
すると、そのような環境のせいか、緊張して普段よりさらに尿が出にくく、検査ができないこともよくありました。
左:従来の機械 右:フロースカイ(TOTO社HPより)
当院で導入しているTOTO社の「フロースカイ」はそのような問題を解決し、洋式トイレと全く変わらない外観となっています。
また当院では、「フロースカイ」専用の完全個室トイレを設けており、日常生活で排尿するのと全く同じ感覚で検査ができるよう配慮しました。
さて、検査当日は受付で「尿の勢いの検査がある」ことを伝えて、お渡しした容器に入れてきた「検尿」をお渡しください。
尿をためて来ているはずなので、あまり長い時間我慢できないと思います。
スタッフが検査専用トイレへご案内します。上の写真の右側の洋式トイレ(これが検査機械なのです)で、普通におしっこをしてください。これで「尿流量検査」自体は終わりです。
「尿流量検査」が済んだら「残尿エコー」を通常セットで行います。
「残尿エコー」には、「超音波検査」で用いる検査機械を用いる場合と、専用の超音波機械によるものがあります。いずれもゼリーをつけた超音波端子(プローべ)を下腹部に押し付けて、排尿後に残った尿量を測定する検査です。
「尿流量検査」と「残尿エコー」を組み合わせることで、「尿がしっかり勢いよく出ているか」、「尿が残らず全部出ているか」を確認できるのです。
当院の尿流量検査室
以上の検査で、「前立腺肥大症」に対して始めた薬の効果を確認し、そのまま続けて飲んでいただくか、あるいは不十分で薬変更の必要はないのか、などがわかるのです。