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膀胱結石

膀胱は下腹部にあって、尿をためておくための袋状の臓器です。膀胱に出来る石が膀胱結石です。寝たきりの方や、尿道にカテーテルが入っている方にできやすく、血尿や頻尿、排尿時痛、カテーテルの詰まりの原因になります。内視鏡で結石を破砕し治療をします。

膀胱結石とは

体の中の尿の通り道を「尿路」と言います。「尿路」は、左右の腰にあって尿を作っている「腎臓」から、お腹の中で尿を運ぶ「尿管」、運ばれてきた尿をためておく「膀胱」、最終的に排尿をする時に尿が流れる通り道である「尿道」までのことを指します。

 

「尿路」にできる結石、つまり”石”のことを「尿路結石」といいますが、「尿路結石」の中で「膀胱」にできるものを「膀胱結石」と言います。

 

「膀胱結石」のでき方には2通りあると言われています。1つは、「腎臓」で出来た「腎結石」が、尿と一緒に「尿管」を通って「膀胱」まで流れてきて「膀胱」にとどまって大きくなる場合です。

腎結石についてはこちら

 

またもう1つは、「膀胱」の中で尿中にできた結晶がだんだん大きくなり結石になる場合です。

 

通常、「腎臓」で出来た結石が細い「尿管」を通り抜けて「膀胱」まで降りてきた場合、あとは自然と排尿時に排泄されることが多いので、2つ目の「膀胱」の中でできるタイプが多いとされています。

 

「尿路結石」のなかでも「腎結石」やに「尿管結石」は、体質や生活習慣などの影響によって、元気にされている若い方でもかかることがあり、ある意味ありふれた病気です。

 

しかし、「膀胱結石」は、比較的めずらしく、特定の原因がある方にできやすい病気です。原因としては以下のものが挙げられます。

 

「膀胱結石」の原因として、「前立腺肥大症」や「神経因性膀胱」などの病気、あるいは寝たきりの方などがあります。

前立腺肥大症についてはこちら

神経因性膀胱についてはこちら

 

 

このような場合、普段から尿が出にくいため、排尿をした時に全ての尿が出しきれずに、一部の尿が「残尿」として「膀胱」の中に残ってしまいます。「膀胱」に残った古い尿に、塩類が「結晶」として沈澱し徐々に大きくなったりするのです。

 

また残った古い尿には細菌感染が起こりやすくなりますが、その細菌が「結石」の元となる「結晶」ができやすくなる物質を作り出すことで「膀胱」の中に「結晶」沈澱し、かたまりとなりだんだん大きくなり「結石」となっていきます。

 

在宅介護や施設などに入所している方で、「尿道カテーテル」を入れて生活している方がいます。

 

「尿道カテーテル」は体にとっては異物なので細菌がつくことがあります。細菌がつくと、尿の濁りが強くなり「膀胱結石」ができやすくなります。

 

「膀胱結石」ができると、急にカテーテルが詰まることが多くなり、頻繁に交換が必要となります。

 

「膀胱結石」は、「排尿時痛」、「頻尿」、「残尿感」、「血尿」などの症状が出ることが多く、見つかった場合は治療が必要となることが多いです。

 

小さな結石であれば、外来診察時に「膀胱鏡」を使って取り除くこともできますが、大きいものは入院して下半身麻酔などで「砕石術」が必要になります。

 

また「尿道カテーテル」が頻繁に詰まってしまい、頻繁に交換が必要となっている場合なども、結石を治療することで尿がきれいになり、交換の頻度を減らすことができたりすることもあります。

 

膀胱結石の症状

膀胱結石ができる方はもともと尿が出にくく、全て尿が出しきれずに残尿が残っている場合がほとんどです。

 

そのような方で、最近になり尿の回数が急に多くなった、あるいは時々血尿が出る、排尿時に痛みがある、などの症状が出てきた場合は「膀胱結石」の可能性があります。

 

ただしこのような症状は、例えば「膀胱炎」や「急性前立腺炎」、「膀胱癌」などでも出る可能性があり、症状だけでこれらを区別することは出来ません。

 

よってこのような症状が出た場合はなるべく早めに病院を受診することをおすすめします。

 

在宅介護や施設などに入所している方で、何らかの理由で自分自身で尿が出せなくなり、「尿道」から「膀胱」に「尿道カテーテル」というおしっこの管を入れて生活している方がいます。

 

このような場合、体にとっては異物である「尿道カテーテル」に細菌がつきやすいため、尿の濁りが強くなりやがて「膀胱結石」ができることがあります。

 

結石はカテーテルの先端にくっついたり、カテーテルの内部にもできることがあります。

 

そのため、通常「尿道カテーテル」は4週間に1回程度、新しいものに交換するのですが、「膀胱結石」ができるとカテーテルが詰まることが急に多くなり、頻繁に交換が必要となってしまいます。

 
膀胱結石の診断

尿検査で、「血尿」や「膿尿」がないかどうかを調べます。

 

また、「腹部超音波」(エコー)や「レントゲン」で結石が膀胱の中に写るかどうかを調べます。

 

「腹部超音波」(エコー)や「レントゲン」で「膀胱結石」が疑われるが小さくはっきりしない場合は、「CT検査」で調べることもあります。最終的には「膀胱鏡」という内視鏡検査で膀胱に結石があるかどうかを確認します。

 

膀胱結石の治療

小さな結石であれば、外来診察時に「膀胱鏡」を使って取り除くこともできます。

 

「尿道カテーテル」に付着した結石であれば、新しいカテーテルと交換することで取り除けることもありますし、砂状の細かい結石は、膀胱内を洗浄することで取り除けることもあります。

 

「尿道カテーテル」が頻繁に詰まってしまい、頻繁に交換が必要となっている場合なども、結石を治療することで尿がきれいになり、交換の頻度を減らすことができたりすることもあります。

 

大きい結石は、入院して内視鏡手術が必要となります。

 

内視鏡手術といっても、それほど大がかりなものではなく、下半身麻酔をかけて、内視鏡下にレーザーなどを使って結石を細かく砕いて全て取り出すとなります。通常は1週間いないの入院で1時間程度で終わる手術です。


膀胱結石の予防、注意点

「膀胱結石」は、時代の移り変わりとともに減ってきた病気と言われています。おそらく昔は衛生状況があまりよくなかったっため、細菌による尿路感染が多かったためと言われています。

 

細菌が「結石」の元となる「結晶」ができやすくなる物質を作り出すことで「膀胱結石」となることが多いからです。

 

よって、現代の日本では「膀胱結石」になる方は、その元になる何らかの病気があることがほとんどです。「膀胱結石」自体の治療はもちろんですが、その原因も治療することが重要です。

 

神戸市東灘区 摂津本山 いしむら腎泌尿器科クリニック院長

泌尿器科専門医 石村武志

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