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過活動膀胱

過活動膀胱とは、尿の回数が多い、急に尿意を催す、間に合わず漏れてしまう、などの症状がある状態のことを言います。40歳以上の男女の8人に1人が過活動膀胱で悩んでいると言われています。生活習慣の改善や内服薬で症状を緩和できることが多いです。それ以外にも「干渉低周波」や、どうしても治らず症状が非常に強い場合は「ボトックス膀胱注入療法」なども有効です。

 

目次

 

過活動膀胱とは

「手を洗う時に冷たい水を触ると急におしっこに行きたくなる」とか、「水のせせらぎの音を聞くとおしっこが我慢できなくなって漏れてしまう」という方がいらっしゃいます。また特にきっかけがなくても、急激に強い尿意におそわれて間に合わず漏れてしまう、あるいは漏れそうになるという方もいます。これらは全て、「過活動膀胱」です。

 

 

 

「過活動膀胱」は、最近ではテレビのCMなどの影響でかなり一般的になってきています。たしかにこの数年、「過活動膀胱」で泌尿器科を受診される女性がずいぶん増えました。

とはいえ、同じように悩みを抱えながら、まだ医療機関を受診できていない方が相当いらっしゃると思っています。多くの方は「別に病気ではないのだから、歳のせいとあきらめてパッドをつけて生活をすればよい」と自分に言い聞かせようとします。

 

しかし人間というものは不思議と尿の悩みがあるとけっこう気分が落ち込むものです。ついつい、尿のことが気になり、やりたいのにあきめていることがあるのではないでしょうか。単に歳のせいとあきらめず、思い切って泌尿器科を受診してみてください。

 

かなりの方が症状がよくなり、生活がしやすくなるはずです「尿の悩みがなくなって、非常に気分が前向きになった」とおっしゃる方が多いです。「尿もれ・頻尿は、泌尿器科!」経験に基づいて、あなたの尿の悩みを適切に解決方法を提案します。恥ずかしい検査や痛み治療はほとんどありません。思い切って受診してみてください。人生変わるかもしれません。

 

さて、過活動膀胱とはどんな病気かについて簡単に説明します。「過活動膀胱」は、「膀胱」が常に緊張状態にあり、頻尿、尿意切迫感、失禁などが出ている状態のことを示します。原因や男女を問わず、そのような症状がある場合は「過活動膀胱」となるわけです。

 

☑︎ 頻尿(夜間頻尿)

☑︎ 尿意切迫感

☑︎ 切迫性尿失禁

 

日本国内で、40歳以上の男女の8人に1人が「過活動膀胱」の症状に悩んでいると言われており、つまり日本全国で800万人以上の方が「過活動膀胱」ということになります。

ちなみに、過活動膀胱の症状のひとつ、「間に合わずに漏れてしまう」ことを「切迫性尿失禁」といいます。いっぽう、「尿失禁」には、咳やくしゃみをしたり重いものを持つなど、お腹に力が加わった時に漏れてしまうタイプもあります。これは「腹圧性尿失禁」といいます。こちらについては別のページで詳しく説明します。

腹圧性尿失禁についてはこちら

 

「切迫性尿失禁」を含めて、「過活動膀胱」の症状は、自分の意思とは関係なしに膀胱が勝手に収縮して尿を押し出そうとすることで起こります。「膀胱」は下腹部の真ん中にあり、尿を溜めておく袋状の臓器で、通常200〜400mL程度の尿を溜めることができます。排尿の後には膀胱は空っぽになります。

100%正確ではありませんが、わかりやすく例えるとこんな感じです。胡椒を吸い込むとくしゃみが出ますよね? 我慢しようとしても「待った」が効きません。これは医学的には「くしゃみ反射」と言います。これと同じように、尿が溜まった時に膀胱が尿を出そうと縮むのも、尿がたまった刺激がきっかけになり膀胱が尿を押し出す「反射」が起こっているからです。これを「排尿反射」といいます。

正常な膀胱は、200〜400ml尿がたまるまでは、この反射が起きないようにコントロールされています。ところが「過活動膀胱」では、尿がたまり膨らんだことを感じて伝える神経の経路、それが伝ったことで膀胱を縮めるように命令伝わる神経、その回路に「待った」が効かなくなるのです。

 

さて、「脳卒中」、「脳梗塞」、「パーキンソン病」、「脊髄麻痺」など、「膀胱」に尿が貯まったことを感じる「神経」や、「膀胱」が尿を押し出すことを命令する「脳」、そのものに異常が生じる病気があります。これらの病気でも、「膀胱」が尿をためてから出すことがしっかりできなくなることがありますが、そのような状態を「神経因性膀胱」といいます。広い意味では「神経因性膀胱」で切迫性尿失禁がおこることも「過活動膀胱」ということになっています。

神経因性膀胱についてはこちら

 

「過活動膀胱」の大半は、そのようなはっきりした脳や神経自体は病気がないのに異常な排尿の反射が出ます。男性の場合は「前立腺肥大症」が元となっていることが多く、女性の場合は、加齢のよる女性ホルモンの低下などが原因となっているとも言われています。

前立腺肥大症についてはこちら

 

少し話が難しくなってきたので、ここでははっきりした脳や神経自体の異常が原因となっている「神経因性膀胱」を除いた「過活動膀胱」に触れることとします。「男女とも、頻尿、尿意切迫感、失禁で困っている場合は、全て過活動膀胱」と考えてほぼ正解と思うので、その前提としましょう。また、男性で前立腺肥大症がもとで「過活動膀胱」の症状が出ている場合、それはあくまで「前立腺肥大症」の初期症状として捉えて治療します。そこで、ここでは女性の「過活動膀胱」を中心に話を進めます。

さて、泌尿器科で行う過活動膀胱の治療には、①生活指導 ②骨盤底筋体操、膀胱訓練、干渉低周波装置、磁気刺激沿装置 ③薬物療法 ④ボトックス膀胱壁内治療 など色々な手段があります。その方の症状や困っている度合いに応じて、それぞれの治療を選ぶことが可能です。人生100年時代、尿もれをなくして旅行やスポーツを楽しみましょう!

 

過活動膀胱の症状

「過活動膀胱」は、「膀胱が活動し過ぎる」つまり膀胱の壁にある筋肉が緊張状態にあり、少しでも尿がたまると反射的に膀胱が尿を出そうと縮んでしまい、尿意を催したり実際に尿が漏れてしまったりすることから名付けられています。

その症状として日中に何度もトイレに行く、一度言ってもまたすぐにトイレへ行きたくなるなどの「頻尿」、夜中に尿意で目が覚めて何度もトイレに行く「夜間頻尿」があります。昼間、あるいは夜間に何回以上トイレへ行って尿をすれば「過活動膀胱」である、というはっきりした決まりはありません。いちおうの目安としては、「昼間つまり朝起きてから夜寝るまでの尿回数が8回より多い場合は『頻尿』である」とされることが多いです。ただし、大事なことは、通常の生活を送るなかで「排尿の回数が多すぎて困っている」かどうかです。

また「夜間頻尿」についても、「夜、就寝後にトイレに行くために1回以上起きなければならず、これにより日常生活に支障をきたし困っている状態」とされています。こちらもあくまで回数の多い少ないではなく、「夜中に何度も尿意で目が覚めて日常生活に支障をきたし困っている状態」を「夜間頻尿」と呼ぶべきかと思います。

 

突然トイレに行きたくなる「尿意切迫感」や、それがひどくなり、急に尿意をもよおしてトイレにいくまで我慢できずに尿が漏れてしまう「切迫性尿失禁」も、「過活動膀胱」の症状の一つです。「尿意切迫感」は、水の音を聞いたり、実際に冷たい水で手を洗うと出る、という方が多いです。

また「尿失禁」つまり尿漏れには、咳やくしゃみをしたり重いものを持ち上げた時にチビってしまうというタイプの「腹圧性尿失禁」というものもあります。厳密には「腹圧性尿失禁」は「過活動膀胱」には含まれず、尿漏れが起こる原因や治療も違うのですが、「切迫性尿失禁」と「腹圧性尿失禁」の両方の要素が合わさって尿漏れが起こっていることもよくあります。

 

過活動膀胱の検査、診断

 

まずは「問診」で、過活動膀胱かどうかと、その程度を把握します。専用の問診票がありますので記載してもらいます。「膀胱炎」や、時には「膀胱癌」など他の病気でも、「頻尿」「尿漏れ」など「過活動膀胱」と似たような症状が出ることもあります。

膀胱炎についてはこちら

膀胱癌についてはこちら

 

「尿検査」、「腹部超音波」(腹部エコー)、場合により「血液検査」などを行い、そのような「過活動膀胱」以外の病気ではないこと確認します。「腹部超音波」(腹部エコー)では、「残尿」の量を計測して、排尿をし終わったとに全て尿が出し切れているかどうかを確認します。

 

過活動膀胱の治療

1. 生活指導

まずは問診などから、水分摂取量や塩分摂取量、コーヒーや飲酒の量、冷え対策など、生活を見直すことで頻尿がマシになる可能性がないかどうかを検討します。これらは、当たり前のようですが、意外と言われるまで実践していないものです。

それ以外にも、高血圧や心不全の治療薬が頻尿の原因となっている場合もあり、そのような場合は適切な服薬指導で改善することもあります高血圧の薬のせいで尿の回数が多くなっている、などとは普通思ったりはしないものですが、実は割とよくあることです。

2. 骨盤底筋体操、膀胱訓練

尿を我慢するための筋肉「括約筋」、それに連動する「骨盤底筋」を鍛える筋トレのような体操を「骨盤底筋体操」と言います。

やり方は色々ありますが、要は尿を我慢する筋肉が締まる動きを、1セット10秒間10回を繰り返し、それを1日に2〜3回行います

骨盤底筋体操についてははこちら

 

いっぽう「膀胱訓練」は、「括約筋」の力を強めると同時に、「膀胱」の緊張状態を和らげるようにするためのトレーニングです。「尿意」を感じたら、つまり「トイレに行きたいな」と最初に感じた時に、尿道を「グッ」と締めることで、たいていは少し尿意は和らぎます。これを常日頃から心がけるのです。

「尿意」がやわらいだら、最初は数分間でもトイレに行くのを我慢します。これを繰り返すことで、徐々にトイレに行くまでの時間を延ばせるようになることがあります。「骨盤底筋体操」が素振り、「膀胱訓練」が実践練習、といったところでしょうか。 

 

「骨盤底筋体操」は「括約筋」の力を強くする運動であるのに対して、「膀胱訓練」は異常な排尿反射を起こす「神経」の高ぶりを抑えることで効くと言われています。よって、「骨盤底筋体操」は、どちらかというと尿を我慢する「括約筋」の力が弱くなって起こる「腹圧性尿失禁」に効果があると言われることが多いです。

 

では「過活動膀胱」には効果がないのかと言われるとそんなこともありません。「過活動膀胱」の原因である異常な排尿反射は、「括約筋」の締まりが弱いために、尿がほんのわずかだけ尿道に漏れる刺激がきっかけとなっている、とも言われています。ですので、骨盤底筋体操」により尿道を締める力が強くなると軽い「過活動膀胱」も治ることがあります。

 

いずれにせよ、「骨盤底筋体操」、「膀胱訓練」ともに、根気よく毎日続けることが重要です。最低3ヶ月は継続しないと効果が期待できないとも言われています。

 

3. 干渉低周波治療、磁気治療

このように、「骨盤底筋体操」や「膀胱訓練」は、本当はまずまず効果のある治療なのですが、なかなか続けられない人が多いのが難点です。そこで、「骨盤底筋」を「干渉低周波治療」や「磁気刺激治療」で刺激して鍛えるという方法もあります。

「干渉低周波治療」とは、肩こりの解消などに使う、2枚のパッド貼って使う装置のことです。「ピクッ、ピクッ」となる例のやつです。実際に過活動膀胱の治療では、お尻と下腹部にパッドを装着し、20分程度神経と筋肉を刺激します。「干渉低周波治療」では、特に神経を刺激します。すると、過活動膀胱で問題となる、異常な神経反射が抑えられ効果というわけです。「磁気刺激治療」では「磁力」が体内で電気刺激に置き換わることで、「干渉低周波治療」と同じように骨盤底の神経や筋肉を刺激して鍛えます。

干渉低周波治療についてはこちら

 

4. 薬物療法

上記のように、尿を我慢する筋肉である「骨盤底筋体操」をすることで、「過活動膀胱」の症状が良くなる方もいます。ただし、「過活動膀胱」の問題は、尿を我慢する筋肉が弱っていることだけではありません。むしろ膀胱が尿を出すべきタイミングではないのにそれを命令してしまう神経の問題、つまり「排尿反射」の異常です。

尿を出す筋肉が強制的に縮んで尿を押し出そうとして、同時に尿を我慢する筋肉が強制的に緩められてしまうことで尿が漏れるわけです。そこで、膀胱の緊張を緩める薬を飲むことで症状を緩和できます。

「過活動膀胱」に対する薬は、比較的よく効くことが多いです。種類がたくさんありますので、微妙に効果や副作用が違います。その方にあった薬を順に試していくのがよいでしょう。副作用としては、口の中が乾いたり、便秘気味になったり、ご高齢の方では特にふらつきや動悸などが出ることも稀にあります。また効きすぎると膀胱が緩みすぎて尿が出しにくい感じになったりすることがあります。安易な処方は「尿閉」のリスクもあるため、できれば専門の泌尿器科で投薬を受けることが望ましいです。

また「過活動膀胱」に対して有効な漢方薬もいくつかあります。体質によく合うとかなり有効なこともあり試す価値はあります。あなたにあった薬を順に何種類か試してみるとよいでしょう。

 

5.  ボトックス膀胱壁注入治療

「過活動膀胱」の中には、かなり重度の「頻尿」や「切迫性尿失禁」で、日常生活がかなり制限を受けて困ってらっしゃる方もいます。色々な治療を試しても無効の場合、「ボトックス膀胱壁注入治療薬」が非常に有効です。この治療は、ボトックス(ボツリヌス毒素)という薬を膀胱の壁に注射することで、膀胱の壁の筋肉を緩める治療です。「ボトックス」とは、シワ取りの美容整形などでよく使用される薬です。注射をした部分の神経の命令を弱めて筋肉が縮むチカラを抑えます。

シワ取りは笑った時の表情筋の動きを弱めることでシワになりにくくしているわけですが、これを「過活動膀胱」に応用しているわけです。「ボトックス膀胱壁注入治療薬」は保険適応が認められており、局所麻酔で20分程度で終わる治療です。かなり効果が高い治療で、有効率は60〜90%と言われています。今まで色々な治療を試してきたが、全く治らないようなひどい「頻尿」、「尿漏れ」でお悩みの方には良い治療と言えます。

 

過活動膀胱の予防、注意点

厳密には過活動膀胱には含まれないのですが、水分のとり過ぎが原因で頻尿になっている方は非常によく見かけます。TVなどで「水を1日〇〇L飲みなさい」などと言われて、真面目に実施されている方。軽い脳梗塞を経験されて、主治医の先生に「水分摂取」を指導され、過剰に飲んでしまっている方。人間の体は入ってきた分の水分が尿として出ていくようにできており、むしろそれで尿量が増えなければ異常です。

 

膀胱が尿を300mlためられるとしましょう。1日に1500ml程度の尿が出る人は5回排尿すれば済みます。ところが余分に1500ml水分をとって1日の尿量が3000mlだとすると排尿回数は10回に増えます。読めば当たり前のようですが、このように水分を過剰に摂取されていることが原因で頻尿になっているのに、尿回数を減らすため無理矢理「過活動膀胱」の薬を出されていることをよく目にします。

 

もちろん、「過活動膀胱」の薬を飲む前にするべきことは正しい水分摂取量を決めることです。適度な水分摂取は人によっては大事なことです。何事も「適度」に行うことが大事ですが、その判断はなかなか難しいこともあります。それも含めご相談に乗りますので、困っている方はまずは泌尿器科を受診してください。

泌尿器科専門医 石村武志

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