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膀胱炎(急性膀胱炎)

膀胱炎は、細菌が尿の出口から膀胱に入って起こる病気です。女性に多く、排尿時の痛みや残尿感、血尿などの症状が出ます。疲れや冷え、排尿を我慢しすぎることで起こりやすくなります。抗菌薬の飲み薬で治療をします。

 

目次

 

膀胱炎とは

季節の変わり目や疲れが出た時など、「あれ?なんか尿をする時に違和感があるな・・」と思ってたら、そのうちに痛みが強くなってきた、たぶんそれは「急性膀胱炎」、いわゆる「膀胱炎」です。

なかなか泌尿器科は受診しにくいな、という方も多いと思います。確かに「膀胱炎」は「膀胱の風邪」などと言われることもあり、市販薬や、”気合い”で治す方もいるようです。しかしそこは、たかが膀胱炎されど膀胱炎。こじらせて「急性腎盂腎炎」になると入院が必要となることもあります。何といっても泌尿器科を受診して抗菌薬を飲めば、拍子抜けするくらいあっさり治ります。

「膀胱炎は、泌尿器科!」です。痛い検査や恥ずかしい検査は一切ありません。ためらわずに泌尿器科を受診しましょう。こんなに早く治るなら、もっと早く受診しておけばよかったと思うはずですよ。

 

さて、膀胱について少し説明をします。膀胱は下腹部の真ん中にあり、尿を溜めておく袋状の臓器です。通常200〜400ml程度の尿を溜めることができます。

女性の尿路

トイレで排尿をする際、「膀胱」に溜まった尿は「尿道」を通って排泄されます。そして、排尿の後には「膀胱」は通常空っぽになります。大腸菌などの細菌が尿の出口から尿道を通って「膀胱」の中に入り、感染して増えることで起こる病気が「急性膀胱炎」、いわゆる「膀胱炎」です。

 

典型的には、排尿の際の不快感や、排尿中や排尿後に尿道や下腹部が痛む「排尿時痛」が出ます。尿の回数が多くなる「頻尿」や、何回尿を出してもまだ出そうな感じになる「残尿感」や、尿が赤くなる「血尿」なども、膀胱炎の症状です。

 

「尿道」の出口付近には誰でも多少は雑菌がついています。通常は、それらの雑菌が「膀胱」のなかに入りかけても、排尿をすることで、尿とともに「膀胱」から「尿道」を通って洗い出されます。しかし、尿を我慢しすぎると、洗い出される前に細菌が増えてしまいます。風邪を引いたり疲れが溜まって、身体の抵抗力が落ちた時も細菌が増えやすくなります。

男性に比べると、女性は「尿道」が短く、細菌が「膀胱」まで到達しやすいため、「膀胱炎」は女性に多い病気です。「膀胱炎」は、「排尿時痛」などの典型的症状と、「尿検査」でほとんどの場合は診断がつきます。そして抗菌薬を約1週間内服することでほとんどが治ります。

逆に治りにくい場合は、菌の種類を調べたり、膀胱炎が治りにくくなるような他の病気がないかどうかを検査する必要があります。いずれにしてもなるべく早く医療機関を受診した方がよいと言えます

 

膀胱炎の症状

主な症状としては、排尿中や排尿後に尿道や膀胱(下腹部)が痛む「排尿時痛」があります。痛みの程度が非常に強く震えを伴うような場合もありますし、軽い違和感程度のこともあります。また、さっき排尿をしたはずなのにすぐにまた尿意をもよおしトイレに行きたくなるが、行ってみると実際はあまり出ないというような「頻尿」や、排尿したあともまだ出そうな感じがする「残尿感」なども多いです。

「排尿時痛」や「残尿感」があまり強く出ない「膀胱炎」もあります。特に高齢者で、「最近になり、急に夜間の尿回数が多くなった」などといわゆる「夜間頻尿」の症状を訴えて泌尿器科を受診された方が、よく調べてみると「膀胱炎」になっており、抗菌薬で治療すると頻尿が治った、ということはよくあります。

人によっては、尿の色が赤くなる「血尿」、尿の濁りが強くなる「尿混濁」に気付く方もいます。

また、通常は「膀胱炎」で熱が出ることはありませんが、膀胱炎をこじらせると細菌が腎臓まであがり、「急性腎盂腎炎」(腎盂炎ともいいます)と言われる病気となります。その場合は、比較的高い発熱や左右どちらかの腰の重だるさや痛みが出ることがあります。

 

膀胱炎の検査、診断

「膀胱炎」かもしれないと思って泌尿器科を受診された場合は、まずは問診で「排尿時痛」、「頻尿」、「残尿感」、「血尿」などの症状があるかどうかをお聞きします。そして「尿検査」を提出してもらい、尿の中に白血球や細菌がいるかどうかを顕微鏡で調べます。ほとんどの場合はこれで診断がつき、抗菌薬を内服することで治癒します。

ただし、まれになかなか治らない場合もあります。「膀胱炎」の原因となる細菌には色々な種類があり、なかには一般の抗菌薬が効きにくいものもあります。そこで細菌の種類を調べどの抗菌薬が最も効果があるかを調べるために、「尿検査」で提出していただいた尿の一部を、「尿培養」という検査で詳しく調べて、細菌の種類を特定します。

また頻繁に「膀胱炎」を起こす方などは、そもそも「膀胱炎」になりやすくなるようなおおもとの病気が潜んでいないかを調べるために「腹部超音波」(腎臓や膀胱を調べる検査で、体表からゼリーのついた器械をあてるだけなので痛み等は全くありません)などを行うこともあります。

 

膀胱炎の治療

「膀胱炎」はほとんどの場合、抗菌薬を約1週間程度内服することで簡単に治ります。治りを早めるためには水分をよくとるようにしましょう。なるべく尿を我慢せずこまめにトイレに行くことも大事です。「膀胱」の中で増えた細菌を尿で洗い流す感覚と思ってください。

お酒を飲むと尿がたくさん出るから飲んだ方がよい、などという人がいますが、アルコールは炎症を悪化させることがあるため、「膀胱炎」が治るまでは控えましょう。また、お腹や足が冷えないようにも注意しましょう。

抗菌薬を1週間程度内服しても治らない場合、一般的な抗菌薬が効きにくい細菌が「膀胱炎」を引き起こしている原因のことがあります。その場合「尿培養」で調べた細菌の種類の結果を参考に、より有効な抗菌薬に変更することもあります。

治りにくい膀胱炎の原因は、細菌の種類だけではありません。例えば、「神経因性膀胱」や「前立腺肥大症」などで、尿が全て出し切れずに「残尿」が残ることがあります。すると古い尿が「膀胱」の中に残り続けて「膀胱炎」が治りにくくなることがあります。

ときどき「尿路結石」や「膀胱癌」が、「膀胱炎」として加療され続けており、泌尿器科を受診して初めて「尿路結石」や「膀胱癌」とわかった、ということもあります。「膀胱炎は泌尿器科」です。

「膀胱炎」に対する市販薬がよく知られています。これらの薬はあくまで細菌に対する身体の自然な治癒力を高めるものであり、「膀胱炎」の原因である細菌を殺菌する効果はありません。「膀胱炎」をこじらせると「急性腎盂腎炎」になることもありますし、抗菌薬を飲みさえすれば、かなり簡単に治ります。専門の病院を受診することをお勧めします。

 

膀胱炎の予防、注意点

「膀胱炎」の予防のために一番重要なことは尿はなるべく我慢しないことです。また、過労などで体力が落ちたり、お腹や足が冷えただけで膀胱炎になる方もいますので、そのような時にはなるべく水分を多めに摂取したり、暖かくなるよう気をつけましょう。

また、女性ついての注意事項もあります。排尿・排便の後は、前から後ろに拭くことで、細菌を尿道に入りにくくするようこころがけましょう。月経の前後には細菌が繁殖しやすいので、なるべく清潔な状態を保ちましょう。性行為後に決まって膀胱炎になる方もいらっしゃいます。性行為後は細菌が「尿道」にはいりやすいのですが、多少入っても排尿することで細菌も一緒に尿と一緒に出てきます。あまり時間をおかずに排尿をするだけでかなり予防効果があります。

泌尿器科専門医 石村武志

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