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血精液症

血精液症は、読んで字のごとく精液に血が混じることです。20〜40歳台の若い方に比較的多いですが、ご高齢の方にも起こります。血精液症が「病気」の名前かと言われるとやや微妙で、むしろさまざまな原因によって起こる「症状」の名前と言えます。慢性前立腺炎や精嚢炎などが原因であったり、稀に高齢者では前立腺癌が原因であることもあります。しかし、そのほとんどは原因がはっきりわからず、自然に治ると言われています。

 

血精液症とは

ある日、射精したら精液に血が混じっていた、、想像するだけで心配になりますよね。精液に血が混じることを「血精液症」と言います。


「射精の仕方が悪かったかもしれない」

「射精し過ぎたかもしれない」

「何か悪い病気かもしれない」


色々なことが頭をよぎると思います。血液というのは、ほとんどの人を不安にさせる色をしているものです。「血精液症」では、黒っぽい血の塊が出たり、真っ赤な血が出たり、薄いピンク色の血が出たり、程度は色々あります。人によっては、射精の時に少し痛みを伴うようなこともあるようです。

 

さて、「血尿」といえば尿の血が混じることで、この場合は尿の通り道のどこかから出血が起こっていることになります。尿の通り道は、「腎臓」、「尿管」、「膀胱」、「尿道」などの臓器があります。

では「血精液症」はどうでしょう。そうです、精液の通り道のどこかから血が出ているわけです。でもみなさん、普通は精液の通り道がどこかなんて知りませんよね、今から説明します。

 

血精液症の原因

まず、「精液」は「精子」と「前立腺液」「精嚢腺液」が混ざったものです。「精液」=「精子」と思っている人もいるかもしれませんが、これは間違いです。

実は精液の成分のうち、ほとんどは「前立腺液」と「精嚢腺液」であり、「精子」はそのごく一部です。「前立腺液」と「精嚢腺液」といわれても、それは何をしているの? 「前立腺」、「精嚢」ってそもそも何?と思われるでしょう。では説明します。

 

「精子」は、「精巣」つまりキンタマで作られます。そして「精巣上体」に運ばれ、つぎに「精管」(せいかん)という細い管を通って流れていきます。そして「前立腺」の直前で「精管膨大部」にとどまります。

 

そして射精の瞬間が近づくと、「前立腺」で作られた「前立腺液」や「精嚢」で作られた「精嚢腺液」と混ざります。そして、最終的に「精液」となり「射精管」を通って、「前立腺部尿道」にある「精阜」というところから「尿道」の中に出てきます。そして「尿道」を通って体の外に出るのです。

射精の瞬間は、「精嚢」や「精管膨大部」はギュッと縮むことで「精液」を押し出し、逆に「射精管」と「精阜」は「精液」を通すために広がります。

また「尿道」は尿が流れる管ですが、「精液」が「膀胱」に入ると困るので、「膀胱」の出口はギュッと塞がり、「精液」が膀胱の方へ逆流することを防ぎます。

「前立腺液」「精嚢腺液」は、主に「精子」が泳ぎやすい環境を整えるためにあります。このように、「精液」は「精巣」「精巣上体」「精管」「精嚢」「前立腺」「射精管」「精阜」のどこかから血が出た時に起きるわけです。

 

前置きが長くなりましたが、結論から言っておくと、若い方であれば、「血精液症」のほとんどが原因ははっきりせず、何も治療をしなくても自然に治ります。まれに、精液の成分の一部を作っている「前立腺」や、精液を貯めておく「精嚢」に細菌感染などで炎症を起こしていることがあり、そのような場合は抗菌薬の飲み薬で治療することもあります。

 

原因不明と言われても、、気になる、、という方のために、あくまで想像ですが、血が混じる原因をいくつか考えてみます。

まずは、割と真っ赤あるいはピンクの血液が混じる方は、「射精」の瞬間に出血が起こっている可能性があります。このような方では射精の時に少し痛みを伴うこともあります。

「射精管」や「精阜」にかかる圧力が少し高くて、この辺りにある細い血管が切れて血が出るんではないかと思います。

中には「ミュラー管嚢胞」という病気ではないが時々ある水が溜まったような袋が「射精管」の周囲にできているのが見つかることもあります。「ミュラー管嚢胞」があると圧迫されて通り道が狭くなるのは何となく想像できます。「ミュラー管嚢胞」自体は特に病気というわけではなく、見つかっても治療はしないことがほとんどです。

 

また黒っぽい血の塊が混じるという人は、「前立腺」、「精管膨大部」や「精嚢」に何らかの炎症や壁の薄い血管があり、そこから出血しているのではないでしょうか。「前立腺液」「精嚢腺液」や「精子」がここに溜まっている間に出た血が塊った後、射精する時に一緒に出てきているわけです。

 

一方、ご高齢の男性ではどうでしょう。やはり若い方と同じで、ほとんどの「血精液症」は原因不明で自然に治ります。

ただご高齢の方で少し注意が必要なのは、「前立腺癌」です。実際「前立腺癌」で「血精液症」が出ること自体かなり稀ですし、逆に「血精液症」がきっかけで「前立腺癌」が見つかることもかなり珍しいといえます。しかし、採血検査でPSAを調べることで簡単に検査ができるため、検査はしておいた方がよいと言えるでしょう。

 

血精液症の症状

「血精液症」では、黒っぽい血の塊が混ざっていたり、真っ赤な血が出たり、薄いピンク色の血が出たり、と症状は色々あります。人によっては、射精の時に少し痛みを伴うようなこともあるようです。

はっきりとした何かの病気が原因で「血精液症」が出ている場合、その病気による他の症状が出ていることもあります。「慢性前立腺炎」なら排尿時痛や会陰部痛、「ミュラー管嚢胞」があると尿道にも影響が出て血尿が出ることもあります。

 

血精液症の検査、診断

ほとんどは原因不明で自然に治る「血精液症」ですが、なかには「慢性前立腺炎」「前立腺がん」など、はっきりとした原因が見つかる場合もあります。そのようなはっきりした原因がないかどうかを調べるために、「尿検査」、「直腸診」、「超音波検査」、「血液検査」などを行うことがあります。「血液検査」では炎症の程度や「前立腺がん」の腫瘍マーカーである「PSA」を調べたります。

慢性前立腺炎についてはこちら

前立腺がんについてはこちら

 

血精液症の治療

「慢性前立腺炎」や「前立腺癌」などの病気が見つかれば、それに対する治療を行います。ただし、そのようなはっきりした病気が見つかることの方がむしろ稀です。その場合は、止血剤を一旦内服して少し治ればあとは様子をにみることがほとんどです。1ヶ月くらいで症状はだいぶましになり、ほとんどが1年以内に治ります。ごく稀に1年以上続く方がいらっしゃいます。

 

血精液症の予防、注意点

繰り返しになりますが、若い方の「血精液症」はほとんど自然に治ります。痛みなどの症状を伴わず、自然に治ってしまったのなら特に心配はないでしょう。ただし、ごく一部とはいえ治療が必要な病気が見つかることもあります。心配な方は泌尿器科を受診しましょう。

 

泌尿器科専門医 石村武志

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