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急性精巣上体炎

精巣上体は、陰嚢の中で精巣の隣にあります。急性精巣上体炎は、精巣上体に細菌が感染して起こります。陰嚢が赤く腫れ上がって痛みが出たり、熱が出たりします。抗菌薬の点滴や飲み薬で治療します。

 

急性精巣上体炎とは

男性の大事な部分が腫れ上がって痛む病気です。一大事ですね。

「急精巣上体炎」は、小さな男の子から老人まで、さまざまな年齢の男の人がかかる可能性があります。ご高齢の方では、重症になると熱が出て入院が必要なこともあります。小さな男の子では、「精巣捻転」という怖い病気と区別がつきにくいことがあります。

みなさん、こんな大事な部分が腫れるなんてただごとではないと分かっているはずです。。しかし、だいぶ辛抱されてから受診されるひとも多いようです。我慢せずに早く泌尿器科を受診しましょう。

さて、「精巣上体」(せいそうじょうたい)は、「精巣」いわゆる ”キンタマ” の隣にあり、「陰嚢」いわゆる ”玉袋” の中に、キンタマと一緒に入っています。

細菌が「精巣上体」に感染すると「急性精巣上体炎」になり、腫れや痛みが出ます。たいていの方は「キンタマが腫れて痛い」といって病院に来ます。しかし厳密にいうと、腫れているのは「精巣上体」で、「キンタマ」つまり「精巣」ではないのです。

ちなみに、このページでは、「精巣」・「睾丸」は ”キンタマ” 、「陰嚢」は ”玉袋” とわかりやすい呼び名で説明しますが、「精巣上体」は「精巣上体」と呼ぶしかないのでそのまま説明します。

さて、キンタマ と「精巣上体」の関係について少し説明します。キンタマには2つの重要な働きがあります。1つは男性ホルモンを作ること、もう1つは「精子」を作ることです。

キンタマで造られた「精子」は、まず「精巣上体」に運ばれ、つぎに「精管」(せいかん)という細い管を通って流れていきます。そして「前立腺」で造られた「前立腺液」と混ざって「精液」となり、射精時には「尿道」を通って体の外に出ます。

 

つまり「精巣上体」は、キンタマで作られた精子の通り道のひとつということです。

「急性精巣上体炎」は、尿の出口から細菌が尿道へ入り、「精子」の通り道をさかのぼって「精巣上体」にたどりつき、そこで感染を起こす病気です。

玉袋 が赤く腫れ上がります。お腹の方へひびくような、いわゆるキンタマ の痛みも出ます。また同時に割と高い熱が出るのも「急性精巣上体炎」の特徴です。

ちいさなお子さんでは汚れた手でおちんちんを触って入った雑菌が原因で起こることがあります。また若い男性では、性感染症の一種であるクラミジアなどが原因となり「急性精巣上体炎」を起こすこともあります。

いっぽう高齢の男性でも「前立腺肥大症」などによる排尿障害があると、慢性尿路感染が原因で「急性精巣上体炎」になりことがあります。

特に「糖尿病」などの基礎疾患がある方は、「急性精巣上体炎」が重症化することもあるので、早めに泌尿器科を受診し治療をすることが重要です。

「急性精巣上体炎」は、細菌感染で起こる病気のため、抗菌薬の飲み薬や点滴で治療します。また「陰嚢」を氷枕で冷やすことで治りが早くなります。

 

急性精巣上体炎の症状

☑︎ 陰嚢内の腫れ、皮膚の赤み

☑︎ 陰嚢内の痛み

☑︎ 下腹部へズーンと響く痛み

☑︎ 発熱

玉袋の中身が腫れ上がります。「急性精巣上体炎」を起こした方の多くは、「 キンタマ が腫れて痛い」と言って受診されます。

しかし実は 、キンタマではなく隣にある「精巣上体」が腫れているわけです。この痛みは キンタマにボールが当たった時や、急所を殴られた時のような、お腹へズーンとひびくような、男性ならわかる「例のあの痛み」です。

「急性精巣上体炎」が重症になると、寒気や震えを伴って38℃以上の「発熱」が出ることもありますし、玉袋 の皮膚が赤く腫れあがって熱がこもります。

外から触るとキンタマと「精巣上体」がひとかたまりになってカチカチになり、歩けないくらい痛くなることもありますし、もっとひどくなると 玉袋 の中に膿が溜まり皮膚が破れて出てくるようなこともあります。

若い男性では、クラミジア、淋菌などの性感染症が原因で「急性精巣上体炎」になることがあります。その場合「尿道炎」から「精巣上体炎」になることが多いため、「尿道」から膿が出たり、排尿をする時の痛みや違和感である「排尿時痛」を感じることもあります。

尿道炎についてはこちら

 

一方、高齢の方で「前立腺肥大症」や「神経因性膀胱」などが原因で、普段から尿が出にくい方がいます。ひどくなると、排尿をした時に「残尿」が残ります。

「残尿」は、出しきれず「膀胱」に残った古い尿ですので、細菌がつきやすくなり、慢性的な尿路感染が生じます。これが原因で「急性前立腺炎」から「急性精巣上体炎」になることもあります。その場合は「排尿困難」や「排尿時痛」などを伴います。

前立腺肥大症についてはこちら

神経因性膀胱についてはこちら

 

施設に入所中の方など、何らかの理由で尿道カテーテルが留置されていることがあります。このような方で高熱が出て、よく見るとキンタマが腫れている、という場合も「急性精巣上体炎」の可能性が考えられます。泌尿器科にご相談ください。

 

急性精巣上体炎の検査、診断

「触診」(触ること)や「視診」(見ること)で、「陰嚢」を触って痛みの性質や場所、腫れ具合を確認します。

特に小さなお子様で”キンタマ”が痛くなった場合、「精巣捻転」という別の病気の可能性もあります。多くの場合は触診だけでは区別がつきにくいのですが、痛みの微妙な性質の違いから、ある程度の判断材料になります。

精巣捻転についてはこちら

 

また「尿検査」で、顕微鏡で尿の中にに白血球や細菌がいるかどうかを調べます。また細菌については、「尿培養」検査で種類とどのような抗生剤が効くかを調べます。

若い男性で問診の内容などからクラミジアや淋菌が疑われる場合、その尿を「クラミジアPCR」、「淋菌PCR」検査に提出します。また、熱が高い場合には「採血検査」で炎症反応を確認することもあります。

「超音波検査」(エコー)も行うことが多いです。外から見ただけでは キンタマが腫れているのか、「精巣上体」が腫れているのか、わかりにくいこともありますが、「超音波検査」をするとわかります。

 

 

また「超音波検査」では「精巣」や「精巣上体」への血液の流れを確認することができるため、「精巣捻転」との区別がつきやすくなります。

 

急性精巣上体炎の治療

「精巣上体」に細菌が感染して起こる病気なので、治療の基本は抗菌薬です。痛みや腫れがそれほど強くなく、また熱があってもご飯は食べられるなど、比較的軽症であれば、飲み薬の抗菌薬による通院治療が可能です。

また、学校や仕事はできれば休んで横になって安静にして腫れた玉袋を氷枕で冷やすと早く治ると言われています。性感染症を強く疑うような場合は、その原因となるクラミジアや淋菌などに効果のある飲み薬あるいは点滴などを行います。 

高齢者でもともと糖尿病の持病があったりして細菌感染に対する抵抗力が弱い方や、採血検査で炎症反応がとても強く出ている方では入院して点滴による抗菌薬治療をすることもあります。

この場合も腫れた玉袋を氷枕で冷やす治療を行います。治療が遅れると非常に重症となり、「陰嚢」に膿が溜まってしまい切開が必要になったり、「精巣上体」だけでなく「陰嚢」、「精巣」、やお尻や股の方にも感染が広がり、命の危険に及ぶこともありますので注意が必要です。

 

急性精巣上体炎の予防、注意点

思春期前後までの男の子が、キンタマが腫れて痛くなった場合、「急性精巣上体炎」か「精巣捻転」のどちらかのことが多いです。実際、泌尿器科専門医でも「急性精巣上体炎」か「精巣捻転」の区別をつけるのは難しいことも多いため、一般の方にはまず無理と言えます

「精巣捻転」であった場合は、緊急で手術しないと、片方のキンタマを失うことになりかねないので早めに泌尿器科を受診しましょう。

 

若い男性〜中年の男性が、キンタマが腫れて痛くなった場合、「急性精巣上体炎」のなかでも「クラミジア」や「淋病」が元となっている可能性があります。

「精巣上体」は「精子」の通り道なので、炎症がひどくなると「精子」がうまく運ばれなくなり、「不妊症」の原因となることもあるので、必ず泌尿器科を受診しましょう。

 

高齢者でもともと糖尿病などの持病がある人が、キンタマが腫れて痛くなった場合も注意が必要です。「急性精巣上体炎」が重症化し、「陰嚢」、「精巣」、やお尻や股の方にも感染が広がり、命の危険に及ぶこともありますので、早めに泌尿器科を受診しましょう。

つまり結局、どの年代であってもキンタマが腫れて痛くなった場合は、早めに泌尿器科を受診した方がよいということです。

 

「急性精巣上体炎」は抗菌薬を指定された期間だけ内服すれば、通常痛みや腫れは治ります。小豆くらいの大きさの「グリグリ」が残ることがありますが、やがてなくなることがほとんどです。

まれに「グリグリ」が再度大きくなり、痛みや腫れをぶり返すことがありますので、その際はもう一度泌尿器科を受診しましょう。

 

泌尿器科専門医 石村武志

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