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心因性頻尿

心因性頻尿は、神経性頻尿とも呼ばれ、緊張や不安などの精神状態が原因で起こる病気です。「トイレがなかったらどうしよう」、「なんとなくトイレに行きたいような気がする? 気がする! 行かないと漏れる」というのがよくあるパターンです。テレビやスマホなど、何かに夢中になっていると頻尿にならないという点が、「過活動膀胱」の症状と違うところです。

 

目次

 

心因性頻尿とは(概要)

「心因性頻尿」は、仕事や学校のストレスや心配事、緊張を強いられる状態、精神的に不安なことがある、などが原因となり起こる頻尿です。

 

「なんか尿が溜まった感じがする」と思い出すと、それに意識が集中しすぎてトイレに行って排尿しないと気が済まなくなる、という感じの症状が多いです。

 

同じく頻尿になる病気として、「過活動膀胱」というものもあります。

「心因性頻尿」が「過活動膀胱」と違うところは、家にいると頻尿がない、逆に外出している時は頻尿がない、など環境によって症状にムラがあること、夜間に尿で目が覚めることがほとんどないこと、尿意を我慢することで実際に漏れてしまうことはほとんどないこと、などがあげられます。

反対に、「過活動膀胱」なら、どこにいても「頻尿」や「尿意切迫」の症状が出ること、多少「夜間頻尿」を伴うことが多く、また我慢していると実際に漏れてしまうこともあります。

過活動膀胱はこちら

 

また、「心因性頻尿」は若い女性に、「過活動膀胱」は比較的ご高齢の女性に多いのも特徴です。

もちろん「心因性頻尿」は、男性にも起こります。ただし実際は、ご高齢の男性の頻尿は「前立腺肥大症」の症状のひとつとして扱われることが多いです。

前立腺肥大症はこちら

 

「心因性頻尿」は、小学生くらいのお子さまにも起こりやすい病気です。

お子さまの「心因性頻尿」は、おねしょの原因と一緒で、排尿に関する脳や神経の働きがまだ不十分であることも関連しています。

また、お漏らしをしてしまったことがきっかけになったり、引越し、転校などの環境変化、演奏会や発表会などもきっかけになることがあります。

 

心因性頻尿の対処方法は年齢によって変わってくると思います。特にご高齢の女性では「過活動膀胱」と「心因性頻尿」が、ご高齢の男性では「前立腺肥大症」と「心因性頻尿」が重なっていることもあり、それぞれ「過活動膀胱」や「前立腺肥大症」の薬で治療を行うこともあります。

 

若い女性、男性で明らかに「心因性頻尿」が疑われる方では、まずはその原因を取り除くことが最重要です。また、膀胱訓練などの生活指導が有効なことも多くなります。

 

小学生くらいのお子さまの場合は、いつトイレに行っても良いのだということを教えてあげたうえで、「特に何もしない」、「特に何も言わない」ことが一番です。

自然に治っていくことがほとんどですので、親御さんが過度に気にしないことが一番重要です。

 

心因性頻尿の症状

 

心因性頻尿の症状は頻尿です。ただし過活動膀胱などによる頻尿とちがって、そこまで強い尿意を感じるわけではありません。

たとえば、長距離ドライブ、通勤電車などトイレにすぐに行けない状況だと想像することで、徐々に尿意が湧いてきます。

そして、もしかして少し尿意があるかも、と思うとそこに意識が集中して、次第に尿意があると思い込んでしまって(本人によっては確かな尿意があります)、トイレに行く、となるわけです。

テレビ番組やスマホ、他人との会話など、何かに集中しているとほとんど頻尿にならないというのも特徴です。

また過活動膀胱は多くの場合、夜間も何度か尿で目が覚める「夜間頻尿」の症状もあること多いのですが、心因性頻尿ではこの症状はありません。

心因性頻尿の原因となるストレスは、学生や大人では、就職の面接、職場でのプレゼン、高校・大学受験、学校職場での人間関係の悩みなどが多いです。

小学生低学年で心因性頻尿になるお子さまは割と多いです。例えば朝学校にいく前に数回おしっこにいく、休み時間のたびにおしっこにいく、などです。

小学校低学年では、なだ排尿に関する脳や神経の働きが不十分であることも関連しています。

お漏らしをしてしまった過去の記憶や、引越し、転校などの環境変化、演奏会や発表会などによる緊張がきっかけになることもあります。

 

心因性頻尿の検査、診断

まずは、問診で頻尿がどんな時に起こるか、排尿時痛や下腹部痛など、ほかの症状がないか、などをお聞きします。「心因性頻尿」の診断のために重要なのは、「心因性頻尿」以外の他の病気ではないことを確認することなのです。

逆に若い女性では特に多いのですが、「膀胱炎かもしれない」といって、病院を受診されます。検査をしてみると、実は心因性頻尿だった、ということも珍しくありません。ただし、本人も言っているように確かに「膀胱炎」と「心因性頻尿」は、症状だけでは区別できないこともあります。

そこで、必ず「尿検査」を行い、「膀胱炎」を疑うような尿の濁りや、尿中の細菌がないかどうかを調べます。

尿検査はこちら

 

「膀胱」の中に「残尿」がないかどうかを、「超音波検査」でチェックする必要があります。

なんらかの理由で「膀胱」に溜まった尿がうまく出しきれなくて、排尿後も大量の尿が膀胱内に残っていることなどがあるからです。

自分では全部出しているつもりの方がほとんどです。すると、残った尿がもともとたくさんあるので、ちょっとだけ時間が経つだけで、また尿意を感じることになるのです。

若い方ではあまり頻度は高くないですが、ご高齢の方では特に「前立腺肥大症」や「神経因性膀胱」などの病気で残尿が生じていることは割とよくあります。

超音波検査はこちら

 

心因性頻尿の治療

こどもの場合

年齢によって治療は異なります。小学生くらいのお子さまの場合は、上記の検査で特に以上がなく、ほぼ間違いなく「心因性頻尿」と判断した場合には、基本的に「何も治療をしない」ことがほとんどです。

 

学校の先生と相談して、休み時間以外でもトイレに行ける状態にしてあげて「いつでもトイレに行けるんだ」ということをわからせてあげて安心するだけで治ることもあります。

それ以外にも、何か夢中になれるような遊びや運動などを始めさせてあげるのもよいでしょう。とにかく、基本的にはおしっこのことに意識が集中しないようにすることが大切です。

 

また、「またトイレに行くの?」とか「さっき行ってたのに」などと責めたり、「もう少し我慢しなさい」と無理矢理我慢させるのはよくないとされています。

どうしても一時的に頻尿を止めたい場合には、薬による治療を短期間することもあります。

 

若い方の場合

人間、生きていたら必ずストレスは受けるものです。それが、原因で精神的に落ち込み、うつ病やパニック障害になる方も一部にいらっしゃいます。あるいは、慢性疲労症候群や頭痛など、「心身症」として身体に症状が出ることもあります。

「心因性頻尿」は、広い意味ではそのような「心身症」のひとつとも言えるため、根本的にはストレスを軽減する方法が治療の第一です。

例えば、職場でのストレスが問題なら有給を取得してゆっくり休む、仕事の負担をあえて減らすなどですし、人間関係のことが原因ならカウンセリングを受ける、などです。

心身症は「精神科」や「心療内科」で治療することもある病気ですので、そのような診療科を受診するのもひとつの方法です。

しかしご本人は排尿の症状しか感じていないため、なかなかこのような診療科を受診する気になれないことも多いです。

 

そこでやはり、泌尿器科で生活指導を行ったり、薬を出したりして治療をすることが多くなります。

生活指導では、こどもの心因性頻尿とは違い、まずは尿を我慢する訓練をします。実際、漏れてしまうことはほとんどないため(漏れるとしたら過活動膀胱です)、ちょっと尿意を感じたかな?くらいのタイミングで、ほかのことを考えたる、深呼吸をしたりして、意識をそらすことです。これを「膀胱訓練」といいます。

 

精神安定剤や抗うつ薬を処方することがあります。これらの薬には、もともと副作用として膀胱を少し緩める作用があるので、そういう意味でも効果は期待できます。

また、「過活動膀胱」と区別がつきにくい場合などは、「過活動膀胱」の治療薬を飲んでみるのもよいでしょう。膀胱を緩める薬なので、尿意が遠のき頻尿がましになります。

ただし、これらの薬は基本的に高齢者が続けて内服する薬という認識を持ちましょう。若い方は、一生薬を飲み続けるわけにも行かないので、いずれは「膀胱訓練」などで薬から離脱できるようにする必要があります。

 

ご高齢の方の場合

ご高齢の女性にとって、「過活動膀胱」、男性によって「前立腺肥大症」は、非常にありふれた病気です。もちろん若い方と同じく「膀胱訓練」なでの生活指導で頻尿が治ればそれが最善です。

ただし、なかなかそうも行かないことが多く、多くは「過活動膀胱」や「前立腺肥大症」に準じて、薬物治療をすることが多いのが現状です。

 

心因性頻尿の予防、注意点

ストレスの多い現代社会では、「心因性頻尿」はだれでもなりえる病気です。自分で覚えているかどうかですが、必ず症状が出たきっかけがあるはずです。そのきっかけを思い出して、できるだけ気をそらしていくことが重要です。

「心因性頻尿」の方は必ず、「1日に何回以上トイレに行ったら異常ですか?」と診察の時に質問します。水をたくさん飲めばそれだけ何回も尿に起きますし、暑い日に水分をあまり摂らなければ減ります。

何回以上が問題、ということはありません。むしろ尿の回数を数えないことが、この病気を良くするためには一番重要なことかもしれません。

 

泌尿器科専門医 石村武志

 

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