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間質性膀胱炎

間質性膀胱炎は、膀胱の慢性炎症により、頻尿、膀胱痛などが生じる病気です。通常の膀胱炎、あるいは過活動膀胱の症状と似ている部分もありますが、症状が長く続いたり痛みが強いなどの違いがあります。食生活の改善や、抗アレルギー薬などの飲み薬が効くことがありますが、なかなか完全に治りにくい病気です。最近になり新しい治療が保険適用となりました。

 

目次
    1. 生活指導
    2. 薬物療法
    3. 水圧拡張療法、DMSO(ジムソ)

 

間質性膀胱炎とは

「間質性膀胱炎」は、「頻尿」、「尿意切迫感」、「膀胱痛」などが生じる病気で、症状が強く治りにくいのが特徴です。中年以降の女性に多く、我が国では約5000人の「間質性膀胱炎」のが人いると言われています。つまり1万人に1人いるかいないかくらい割合ですので、比較的まれな病気と言えます。

 

いわゆる普通の「膀胱炎」でも「頻尿」や「膀胱痛」などの症状が出ます。ただし、ほとんどは一時的な症状で、抗菌薬で治療すれば治ります。

 

「過活動膀胱」でも「頻尿」や「尿意切迫感」が起こります。しかし、「過活動膀胱」では痛みはほとんどないのが通常です。

 

いっぽう「間質性膀胱炎」では、特に尿が溜まった時に「膀胱」がある下腹部に強い痛みが出ます。このように「間質性膀胱炎」は、「膀胱炎」や「過活動膀胱」の症状とやや似たところもありますが、全く別の病気です。

 

「間質性膀胱炎」の原因ははっきり解明されていないのですが、膀胱粘膜の免疫異常や機能不全などにより、粘膜表面を保護するバリアが障害され、尿中の成分が膀胱粘膜にしみ込むことが関係していると言われています。

 

唐辛子やわさびなどの香辛料、コーヒー、レモンなどの刺激物を摂取すると、それらが尿中に排泄されます。そうすると「膀胱」の粘膜バリアが障害されている「間質性膀胱炎」の方は、尿がしみることで痛みが出るというわけです。

 

よって、まずはこれらの刺激物を避けることが治療の第一歩です。また精神的なストレスで症状が悪くなることも知られているため睡眠をしっかりとって規則正しい生活を心がけましょう。

 

症状が強い場合は、鎮痛薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、ステロイドなどの飲み薬を順番に試してみます。

 

これらの薬が無効の場合は、「膀胱鏡」で膀胱を膨らませ、水圧で拡張する治療術が行われます。その際、同時に膀胱内視鏡下に電気やレーザーで膀胱粘膜の潰瘍部分を焼く治療も行われることがあります。

 

またごく最近、膀胱内に注入することで「間質性膀胱炎」の症状が緩和されることが期待される「DMSO」(ジムソ)という薬剤が保険適応となりました。水圧拡張とほぼ同等の効果があると言われ、侵襲も低いため期待が持たれます。

 

間質性膀胱炎の症状

「間質性膀胱炎」では、何度も尿に行きたくなる「頻尿」、急に尿意を催す「尿意切迫感」、「膀胱」が存在する下腹部が痛くなる「膀胱痛」などの症状が出ます。

 

また痛みは「膀胱」だけでなく、「尿道」や「膣」に出ることもありますし、中には腰が痛いという方もいます。

 

このような症状は、それほど強くない方もいますが、非常に強く出る方では、生活に支障をきたすくらいのこともあります。

 

また、症状が時期によってよくなったり悪くなったりを繰り返したり、食事の内容や精神的ストレスなどの影響を受けやすい ことも特徴です。

 

「膀胱」に細菌が感染して起こるいわゆる普通の「膀胱炎」(急性単純性膀胱炎)でも、「頻尿」や「膀胱痛」などの症状が出ます。

 

しかしこの場合はほとんど一時的な症状で、抗菌薬で治療すれば1週間以内に治ります。普通の「膀胱炎」では排尿中や排尿が終わった後に下腹部や尿道が痛みのに対して、「間質性膀胱炎」では尿がたまってきた時に痛みが出やすいのが違いです。

 

また同じく高齢女性に多い「過活動膀胱」でも「頻尿」や「尿意切迫感」が起こります。

 

ただし「過活動膀胱」では痛みはほとんどなく、急な尿意を我慢仕切れずに漏れてしまうことが多いのですが、「間質性膀胱炎」では、尿が溜まった時や尿意を我慢した時に漏れることはありませんが「膀胱」がある下腹部に痛みが出ます。

 

間質性膀胱炎の検査と診断

まずは「問診」により、うえで説明したような「間質性膀胱炎」に典型的な症状を確認します。「間質性膀胱炎」を疑った場合は、「尿検査」、「腹部超音波」(エコー)、「膀胱鏡」、「尿細胞診」などの検査を行います。

 

「尿検査」では顕微鏡で尿を調べて赤血球や白血球、細菌が尿に混ざっていないかを調べます。白血球、細菌が尿に混ざっている場合は、「間質性膀胱炎」ではなく、いわゆる普通の「膀胱炎」(急性単純性膀胱炎)の可能性が高くなります。「間質性膀胱炎」は症状が強い割に「尿検査」は正常なことが多いです。

 

「超音波検査」(エコー)では、「膀胱結石」がないかどうか、排尿後に出しきれずに「膀胱」に残ってしまっている「残尿」がないかどうかを調べます。これらがある場合は、「頻尿」、「尿意切迫感」、「膀胱痛」などの症状は、「膀胱結石」や「残尿」を生じる「神経因性膀胱」などの病気が原因である可能性が高くなります。

 

「間質性膀胱炎」の診断のために重要な検査は「膀胱鏡」です。「膀胱鏡」は細いファイバーを「尿道」の出口から「膀胱」の中に挿入して、「膀胱」の粘膜を観察する検査です。

 

「間質性膀胱炎」では、特徴的な「ハンナー病変」という粘膜の充血や、「膀胱」が膨らむことによって、粘膜から出血が起こる「点状出血」などが認められます。

 

また、「頻尿」、「尿意切迫感」、「膀胱痛」などの症状が出て受診される方の中には、稀に「膀胱がん」が見つかることがあります。と「膀胱癌」の中でも特に「上皮内癌」という種類の癌はこのような症状が出やすく「間質性膀胱炎」との区別が必要です。そのためにも「膀胱鏡」は役立ちますし、「尿細胞診」によって尿の中に悪性細胞が入っていないかどうかを調べる必要があります。 

 

間質性膀胱炎の治療

間質性膀胱炎の治療としてまず試すべきなのは生活習慣の改善です。もしそれでよくならない場合は、飲み薬による薬物治療を試します。それでも症状が強い場合は、膀胱水圧拡張術+電気(レーザー)焼灼術か、DMSO(ジムソ)膀胱内注入を考えます。いずれも比較的効果の見込める治療です。膀胱水圧拡張術+電気(レーザー)焼灼術は入院、麻酔が必要ですがDMSO(ジムソ)膀胱内注入は通院治療で行うことが可能です。

 

① 生活習慣の改善

「間質性膀胱炎」は、膀胱粘膜を保護するバリアが障害されることで、尿中の成分が膀胱粘膜にしみ込むことが関係していると言われています。

 

香辛料、コーヒー、かんきつ系の果物などの刺激物を摂取すると、それらが尿中に排泄されることで粘膜にしみ込んで症状がひどくなると言われています。

 

そこで、まずはそのような食べ物を避けることがまず最初に取り組むべき治療と言えます。

 

また「間質性膀胱炎」は、精神的なストレスの有無で症状が良くなったり悪くなったりすることを繰り返すと言われています。そのため睡眠をしっかりとり、規則正しい生活を心がけることも重要です。

 

避けた方がよい食べ物、飲み物

①からし、わさび、唐辛子など香辛料
②チーズ類
③みかん、レモンなどのかんきつ類
④酢の物
⑤コーヒー、紅茶
⑥チョコレート
⑦アルコール
⑧ビタミンC
⑨カリウムを多く含む食品(生野菜や果物、海藻類)

 

② 薬物治療

生活習慣の改善を行なっても症状が改善しない場合は、飲み薬の治療を試します。原因がはっきりとわかっていない病気なだけに特効薬はありませんが、鎮痛薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、ステロイドなどの飲み薬で症状がよくなることもあります。

 

③ 膀胱水圧拡張術、電気(レーザー)焼灼術

「膀胱鏡」を使って、膀胱内に水を多量に注入して一旦膀胱を無理やり膨らますことで、「間質性膀胱炎」の症状が良くなることがあります。

 

これを「膀胱水圧拡張術」と言います。もともと、ただでさえ尿が溜まると膀胱が痛くなる病気ですので、多量の水で無理やり膨らますのは痛みを伴います。ですので、通常この治療は入院して下半身麻酔をかけて行うことが多いです。

 

④ DMSO(ジムソ)膀胱内注入

「DMSO」(Dimethyl sulfoxide;ジムソ)膀胱内注入は、以前から他の治療と比べて比較的よく効くとされてきた治療で海外などでは行われてきました。我が国では保険適用がなく使用しづらかったのですが、ごく最近使用可能になりました。

 

「DMSO」は、炎症抑制、筋弛緩、鎮痛などの作用があるとされ、膀胱内に注入することで「間質性膀胱炎」の症状が緩和されることが期待できます。

 

実際の方法としては、まず「尿道」の出口から「膀胱」の中に局所麻酔薬を注入し、カテーテルを使って「DMSO」を「膀胱」の中に注入します。入れた後15分程度膀胱の中に保持して、その後排尿と共に「DMSO」を排出します。

 

注入した時に一時的に「ニンニク臭」がするほか、一部の方では治療後2日間くらい「間質性膀胱炎」の症状が一時的に強くなりますが、そのような方でもその後徐々に症状がよくなります。このような治療を2週間ごとに合計6回行います。

 

間質性膀胱炎の予防、注意点

「間質性膀胱炎」は、なかなか理解してもらえいない不快な症状を抱えることで、生活の質が低下するのにもかかわらず、見逃されやすい病気です。治療のひとつとしてもあげましたが、ストレスを減らすことが重要です。特に緊張がよくないと言われているため、普段から緊張のないリラックスした生活をこころがけましょう。

 

また、完全に治ることは難しい病気ですが、様々な治療があり、ある程度効果が出る方がいることも事実です。重症の場合は「難病指定」を受けることもでき医療費が減免される可能性もあります。

 

泌尿器科専門医 石村武志

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