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急性前立腺炎

尿道の奥にある前立腺に細菌が感染することで起こる病気が急性前立腺炎です。男性で発熱があり、排尿時痛、頻尿、排尿困難などの症状が出た場合は、急性前立腺炎かもしれません。抗菌薬の飲み薬や点滴で治療をします。

 

目次

 

急性前立腺炎とは

男性が「膀胱炎」になることは、実はそう多くありません。「膀胱炎」は女性に多い病気なのです。もしも男性で「排尿時痛」、「頻尿」、「残尿感」などの、いわゆる「膀胱炎」のような症状が出た場合、それは「急性前立腺炎」かもしれません。

 

 

もちろん、男性が「膀胱炎」になることが全くないわけではありません。また、同じように「排尿時痛」を生じる「尿道炎」という病気もありますが、「尿道炎」はいわゆる「性病」であることがほとんどで、「排尿時痛」以外に、「尿道から膿が出る」などの症状を伴います。

 

膀胱炎についてはこちら

尿道炎についてはこちら

 

男性が「排尿時痛」などの「膀胱炎」のような症状に加えて、高熱が出て尿が出にくい感じが出てきた場合は、かなりの確率で「急性前立腺炎」が疑われます。

 

 

さて、そもそも「前立腺」とはなんでしょう?「前立腺」は、男性にしかなく、精液の成分を作っているクルミのような形の臓器です。「尿道」の奥の方で、「膀胱」の出口にあり、「尿道」を取り囲むように存在します。

 

「膀胱」の出口、と言ってもどのあたりなのかわかりにくいと思いますが、「肛門」と「陰嚢」(玉袋)の付け根の、あいだの奥の方といったイメージです。

 

 

「急性前立腺炎」の多くは、尿道から入った細菌が前立腺まで到達して感染をすることで起こる病気です。

 

先ほどもお話したように、男性が「発熱」を伴って、「排尿時痛」、「頻尿」、「排尿困難」、「残尿感」などの症状が出た場合、「急性前立腺炎」の可能性が高いといえます。

 

 

少しややこしいのですが、「前立腺」に細菌が入っても、熱が出ずに排尿時の違和感や尿道の痛みなどの症状が長く続くような状態となる「慢性前立腺炎」という病気もあります。

 

慢性前立腺炎についてはこちら

 

「慢性前立腺炎」は、治療によって細菌がいなくなっても症状が続いたり、もともと細菌がいなくても起こったりします。これについては別の項目で説明します。

 

さて、話は「急性前立腺炎」に戻りますが、その原因となる細菌は一般的な「大腸菌」や「ブドウ球菌」などの、いわゆる雑菌です。

 

 

また、男性に「尿道炎」を起こす原因の「クラミジア」や「淋菌」が原因となることもあります。つまり「急性前立腺炎」の一部は、いわゆる「性感染症」ということになります。

 

「急性前立腺炎」を起こしているかどうかは、「検尿」や「腹部超音波」(エコー)、「直腸診」といって肛門から指を入れて前立腺を押す検査や、「採血検査」などで診断します。

 

 

治療の基本は、原因となっている細菌に対する抗菌薬投与です。「急性前立腺炎」は、こじらせると「敗血症」といって「前立腺」から全身の血液に細菌がまわり、命の危険がおよぶ状態にもなりかねないため、早めの受診が重要です。

 

なお、軽症の場合は抗菌薬の飲み薬で治療しますが重症の場合は抗菌薬の点滴を数日間することもあります。

 

急性前立腺炎の症状

 

☑︎ 排尿時痛

☑︎ 頻尿、残尿感

☑︎ 排尿困難感

☑︎ 発熱

 

「前立腺」は男性にしかないので、「急性前立腺炎」は男性にしか起こりません。

 

比較的高い発熱と同時に、尿をする時に下腹部や尿道が痛む「排尿時痛」は必ず出ます。

 

尿が近くなる「頻尿」や、急に尿意をもよおして我慢できなくなる「尿意切迫感」、尿の勢いが弱くなる「尿勢低下」や「排尿困難」、排尿した後もまだ出そうな感じがする「残尿感」などの症状が急に出てきた場合、「急性前立腺炎」の可能性が高いです。

 

 

また時には、「膀胱」に尿がたまってパンパンになっているのに、「膀胱」の出口が腫れた「前立腺」でふさがれて、尿を出したいのに出せない、というとても苦しい状態になります。

 

この状態を「尿閉(にょうへい)」といい、速やかに尿道にカテーテルを入れて尿を体外に出す必要があります

 

さらに、細菌が「前立腺」からさらに「精管」という精子の通り道をさかのぼり感染すると、「急性前立腺炎」と同時に「急性精巣上体炎」を同時に起こすこともあり、そのような場合は「陰嚢」(玉袋)の中が腫れ上がり痛くなることもあります。

 

急性精巣上体炎についてはこちら

 

 

「急性前立腺炎」は、こじらせると前立腺から全身の血液に細菌がまわり「敗血症」となり、血圧が下がってショック状態となる「敗血症性ショック」を引きこすこともあります。

 

その場合は、「悪寒旋律」(おかんせんりつ)と言って、止めようと思っても止まらない非常に強い震えが出たり、気分が悪くなったり意識がなくなったりします。ご高齢の方などでは命に関わる状態となることもあり注意が必要です。

 

急性前立腺炎の診断


「尿検査」で「膿尿」(顕微鏡で見ると尿に白血球が混じっていること)や「細菌尿」(顕微鏡で見ると尿に細菌が混じっていること)が認められ、また「腹部超音波」(エコー)で「前立腺」が大きく腫れているのがわかります。

 

また「直腸診」といって、肛門から指を入れる検査をすると、「前立腺」を押された時に痛みを感じます。また「採血検査」を行い、重症度を判定することもあります。

 

治療のためには抗菌薬が必要なのですが、どのような細菌が感染しているか、またどの抗菌薬がもっとも効果的かを知るために、「尿培養」という検査を行います。

 

 

性感染症が疑われるような場合は、検尿で提出してもらった尿を「クラミジアPCR検査」や「淋菌PCR検査」で調べることもあります。

 

急性前立腺炎の治療

抗菌薬の点滴治療をすることが多いです。発熱や全身の状態、「採血検査」の結果から、軽症と判断される場合は、内服の抗菌薬だけで治療することもあります。

 

逆に非常に重症の場合は、敗血症といって前立腺から全身の血液に細菌がまわり命の危険がおよぶ状態にもなりかねないため、総合病院へご紹介して入院が必要となることがあります。

 

 

急性前立腺炎の予防、注意点

もともと「前立腺肥大症」などがあると、排尿の後も「膀胱」がからっぽにならずに尿が残ってしまっている状態の方がいます。「膀胱」に残った尿を古い「残尿」といいますが、「残尿」が毎回100mlを超えるような排尿状態が続くと、「尿道」から少し細菌が入っただけでも、尿で洗い流されにくくなるため「急性前立腺炎」になりやすくなります。

 

「糖尿病」などの持病がある方は、細菌に対する抵抗力が落ちており、感染を起こしやすい体質になるため、「急性前立腺炎」になりやすい可能性があります。そのような病気を普段からかかりつけ医でしっかり管理してもらうことが重要です。

 

「急性前立腺炎」を抗菌薬で治療して治癒したはずなのに、排尿時の違和感や「会陰部」の痛みなどが続くことがあります。このような状態を「慢性前立腺炎」といい、はっきりとした原因はないのにもかかわらず、割と辛い症状に長期間悩まされることがあります。「慢性前立腺炎」については、別の項目で詳しく説明します。

 

慢性前立腺炎についてはこちら

 

泌尿器科専門医 石村武志

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