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尿管結石

尿管は、腎臓から膀胱まで尿を運ぶ細い管です。腎臓で出来た結石が、尿管に流れてきてつまると尿管結石となり、腰や背中の激しい痛みや血尿が出ます。数日から数週間で尿とともに自然と排泄されることが多いですが、砕石術などの治療が必要になることもあります。

目次

 

尿管結石とは

「世界3大激痛」というのがあるようです。その栄誉を与えられた病気は、、、

 

  •  尿管結石
  •  群発頭痛
  •  心筋梗塞

 

らしいです。

 

 

確かに、「尿管結石」で救急外来に受診される患者さまは、痛みのあまり転げ回っていたり、痛みのあまり嘔吐したり、ただごとではない雰囲気です。

実は10人に1人の割合で、一生に一度は「尿管結石」になると言われています。こんなに恐ろしい病気が、比較的身近にあると聞くとぞっとすることでしょう。

一度「尿管結石」の痛みを味わった方はなおさらかと思います。できれば一生味わいたくない痛みではありますが、これをお読みの方はもしかして既に苦しんでいるのかもしれません。

これを読んで、結石にならないためにはどうすればよいのか、またもしもなってしまったらどうするのか、一緒に勉強しましょう。

 

 

さて、尿管結石はどのような病気なのでしょうか。病気の名前は尿管結石ですが、実はこの結石は「腎臓」で作られます。

腎臓」とは左右の腰のあたりにある握りこぶしくらいの大きさの臓器です。血液中の老廃物や余分な水分から「尿」を作り排泄する働きがあります。

 

 

 

「腎臓」の中でも尿を作っている、いわゆる「実」の部分を「腎実質」、「腎実質」で作られた尿を溜めておく部分を「腎盂(じんう)」といいます。「腎臓」の中の「腎実質」で作られた尿は「腎盂(じんう)」に一旦たまった後、「尿管」という細い管の中を流れて、下腹部にある「膀胱」にたまります。

 

 

結石は、「腎実質」や「腎盂」で出来ます。そこにとどまっている場合は「腎結石」といいますが、この「腎結石」が尿と一緒に「尿管」の中に流れてきて落ち込むと、「尿管結石」と呼ばれるようになります。

 

 

「尿管」はかなり細い管ですので、落ちてきた結石がこすれてキズがつくと血尿が出ます。また結石が「尿管」の中に詰まって尿が流れなくなると、「腎臓」で作られた尿が「腎盂」に貯まって腫れてしまいます。こうなると、左右どちらかの腰や背中、脇腹に激しい痛みが出ます。

 

 

「世界3大激痛」とは言いましたが、全員がそんなに苦しむというわけではありません。実際はそこまで痛いことの方がむしろ少ないくらいです。なかには全く痛みがなく気づかず自然に出てしまう場合もあります。ただ、やっぱり痛い人は本当に痛いのは事実です。。

20代〜50代の比較的若い年齢の方に多く、やや男性に多いと言われています。女性でももちろん起こります。

過去に「尿管結石」になったことのある方や「肥満」や「痛風」(高尿酸血症)の方、普段から水分摂取が少なく尿が濃い方などは「尿管結石」になりやすいと言えます。 

「尿管結石」は非常に痛いのですが、ある程度時間が立つと、小さいものであれば尿と一緒に出てくることも多く、鎮痛剤等で痛みをやわらげながら、水分摂取を心がけます。結石排出促進薬を飲むこともああります。

鎮痛剤を使っても痛みが激しい場合、結石が完全に詰まってしまうことで感染が起こり発熱している場合、結石が大きい場合などは、なんらかの処置や治療が必要になります。

例えば尿管カテーテル留置や、体外衝撃波や内視鏡を用いた結石破砕術などの治療です。

なお、「尿管結石」とよく似た言葉に「尿路結石」というものがあります。「尿路」というのは尿の通り道である「腎臓」、「尿管」、「膀胱」、全体のことをさします。よって「尿路結石」というのは、ここで説明している「尿管結石」のほか「腎結石」、「膀胱結石」、「前立腺結石」、「尿道結石」を含む病気のことです。

尿管結石の症状

尿管結石による症状はなんといっても「仙痛発作」と言われる、左右どちらかの腰、背中、脇腹から横腹に生じる痛みです。最初はやや腰が重だるい感じ程度のこともあったり、お腹が痛い、と感じることもあります。

痛みは周期的に出たり引いたりします。痛すぎて吐き気が出たり、転げ回るほどの激しく痛むこともあります。まさに地獄絵図です。

ただ、なかにはそれほど強い痛みを感じない人もいます。結石の大きさにはあまり関係がないことが多く、むしろ小さい結石ほど痛みが強いような印象さえあります。

痛みは、結石が流れていく時に「尿管」の壁にこすれることで起こります。また、結石が「尿管」に詰まってしまって尿が流れなくなると、それより上流の「尿管」や「腎盂」に尿がたまって腫れることでも起こりします。

また急激に「尿管」や「腎盂」が腫れると、破裂をして尿が体内で「尿管」の外に漏れ出ることもあります。

そして、いよいよ結石が下の方まで落ちてきて膀胱の近くに来ると、排尿時の痛みや頻尿、残尿感などが出ることもありますし、時々ふともものあたりが痛い”とか、”キンタマが痛い”と言って病院にきて検査をしてみたら「尿管結石」だったという方もいます。

 

「腎臓」から「膀胱」へ尿を運ぶ細い管が「尿管」、「膀胱」から体の外へ尿を運ぶ管が「尿道」です。

「尿道」は「尿管」よりもだいぶ太い管です。なので、「尿管」を通って「膀胱」まで落ちてきた結石が「尿道」を通って体の外に出る時は何も感じないことが多く、「尿管結石」が尿と一緒に出てくる時も半分以上の方が気づかずにトイレで流してしまいます。

結石が出てくる時に「尿道」がムズムズするような感じがした、という方もいらっしゃいますが、ここで引っかかってしまうことはまれです。

 

痛み以外の「尿管結石」の症状としては、「血尿」があります。「尿管結石」でも痛みがあまりないこともあり、若い方で急に真っ赤な尿が出た、という場合は、「尿管結石」の可能性が高いと考えます。

また、先ほども説明したとおり結石により「尿管」が詰まってしまって尿が流れなくると、それより上流の「尿管」や「腎盂」に尿がたまり腫れてきます。この状態でたまっている尿に細菌が感染すると、「急性腎盂腎炎」を起こし、発熱や倦怠感、排尿時痛などが出ることもあり、そのような場合は放置すると全身に細菌がまわって危険な状態になることもあります。

急性腎盂腎炎についてはこちら

 

尿管結石の検査、診断

まずは、「問診」、「視触診」つまりお話を聞いて身体の診察をすることで、痛みの性質や場所などを確認します。特に「腎盂」が腫れて痛みが出ている場合などは、「叩打痛」といって左右どちらかの背中をたたくと痛みが強くなる特徴があります。

「尿検査」も必須です。「尿管結石」では、見た目に明らかな血尿(肉眼的血尿といいます)が出ることがありますが、あまりはっきりしないこともあります。そのような場合でも「尿検査」で顕微鏡を使って尿を観察すると、ほとんどの場合は血尿を認めます(顕微鏡的血尿といいます)。

以上の「問診」、「視触診」、「尿検査」で、「尿管結石」に特徴的な痛みがありかつ血尿を認めれば90%以上の確率で「尿管結石」と言えます。さらに「腹部超音波」(エコー)検査をすると、「腎盂」が腫れているかどうかがわかります。もしも「腹部超音波」で「腎盂」が腫れていた場合は、さらに「尿管結石」の可能性は高まります。

しかし「問診」、「視触診」、「尿検査」、「腹部超音波」では、「尿管結石」自体を確認したわけではありません。あくまで状況証拠から「尿管結石が相当疑わしい」という状態です。

尿管の上の方にある結石なら「腹部超音波」で写ることもありますが、写らない場合の方が多いです。そこで、「尿管結石」自体を画像で確認するために、「腹部レントゲン」や「CT検査」を行います。「尿管結石」はカルシウムを主成分とすることが多いため、「腹部レントゲン」では骨と同じように白く写ります。ただし、骨と重なっていたり結石が小さかったりするとと見えにくてわからないこともよくあります。

レントゲンに写る白い影は「尿管結石」以外にも、固くなり「石灰化」を起こした「血管」や「軟骨」など「尿管結石」と紛らわしい影も多く映っており、必ずしも白い影が「尿管結石」と言い切れないことも多く、その判断は難しいことも多いです。しかも「尿管結石」のなかにはレントゲンには写らないものもあります

 

「CT検査」は「尿管結石」の診断には最も役に立つ検査で、非常に小さな結石や「腹部レントゲン」では写らないような成分の結石でもほぼ必ず写ります。

「尿管結石」と紛らわしい影との区別もつけやすいですし、「腎盂」が腫れているかどうかもはっきり写ります。「問診」、「視触診」、「尿検査」、「腹部超音波」、「腹部レントゲン」でわかりにくい「尿管結石」を最終的にはっきりさせるためには非常に有効な検査です。

ただ、もちろん費用の負担がかかることと、何度も撮影することでX線の被曝量も増えるため、本当に必要な時に行うべき検査と言えます。そこで「CT検査」を行った方でも同時に「腹部レントゲン」を撮影して「尿管結石」の大きさや写り方を把握しておき、「CT検査」を何度も撮影しなくても「腹部レントゲン」で代用できるようにしておくこともあります。

やや特殊な検査として、レントゲンの1種である「経静脈性腎盂造影」という検査もあります。「造影剤」という液体を注射すると、レントゲンで尿が白く写るようになります。これを利用して、「造影剤」を注射する前、してから5、10、15分後にレントゲンを撮影して、「尿管結石」と「尿管」の位置関係を確認したり、「尿管結石」が尿の流れをどの程度邪魔しているかがわかります。

「CT検査」が普及する以前は、「尿管結石」の診断のために行われることが多かったのですが、「造影剤アレルギー」や、「薬剤性腎機能障害」等の危険性があるため、状況に応じて必要と判断した場合のみ行うことが多いです。

 

「尿管結石」を疑い検査を進める中で、「採血検査」をすることもあります。例えば、「腎盂腎炎」を発症していて発熱や倦怠感を認め場合などは、採血検査を行い炎症反応の程度を確認します

その結果、重症と判断した場合は抗菌薬の点滴をすることもありますし、まれですが緊急入院が必要となり総合病院へ紹介となることもあります。また「腎臓」にも「腎結石」が複数認められる場合や、何度も「尿管結石」を繰り返している方などは「尿管結石」をきたす副甲状腺機能亢進症」「痛風」(高尿酸血症)などがないかどうかをチェックします。

 

尿管結石の治療

「尿管結石」の多くは、やがて尿と一緒に自然に体の外へ出てしまいます。大きさや場所、痛みが出てからの期間などにもよりますが、数mm程度の大きさであれば自然に出ることが多いと言われています。

とは言っても「尿管結石」の痛みは非常に辛いものです。そこで「尿管結石」とわかった場合はまずは「鎮痛剤」で痛みをやわらげます。

「鎮痛剤」には「飲み薬」「座薬」「点滴」「注射」があります。痛みがそれほど強くない場合は「飲み薬」で、だいぶ痛い時は「座薬」、転がりまわるくらい激しい痛みでもまずは「座薬」を使い痛みが引かなければ「点滴」や「注射」をします。

一旦痛みが引けば、その次は痛み始めた段階で「鎮痛剤」(「飲み薬」か「座薬」)を使えば、そこまで痛みが強くなる前に治ることが多いです。よって、「鎮痛剤」で痛みがひいた場合は、その後は痛みが出そうになった時には使用できるように「飲み薬」か「座薬」の「鎮痛薬」を何回分か持って帰っていただきます。

同時に「尿管」を広げて「尿管結石」が流れやすいようにする「結石排出促進薬」を飲みながら、尿と一緒に自然に体の外へ出てしまうのを待つ、ということになります。早い人では数日で、遅い人だと数ヶ月かかることもありますが、「自然に出るであろう」と判断した方の90%以上は自然に出て治ります

「自然に出るであろう」と判断して待っていた「結石」が、いっこうに動く気配がない場合、出てくるのを待っている間に何度も強い痛みが出て生活に支障をきたす場合、また最初から1cm以上あるような大きな「尿管結石」の場合は、自然に出てくることは難しいと判断して「結石」を粉々にくだく治療をします。

その方法としては「体外衝撃波結石破砕術」(ESWL)と「経尿道的尿管結石砕石術」(TUL)があります。

「体外衝撃波結石破砕術」(ESWL)は、お腹や背中に大きなドラムのようたプヨプヨの機械を当て、そこから「尿管結石」に照準を合わせて出る「衝撃波」を当てて「尿管結石」を細かく砕くという治療です。

ただし、「結石」が「腎臓」を出てすぐの場所、あるいは「膀胱」のすぐ手前、にある場合は、割れることが多いのですが、その中間あたりにある場合はうまく「衝撃波」が伝わらず割れないことも多く、何度か同じ治療を行うこともあります。

「体外衝撃波結石破砕術」(ESWL)は麻酔を必要としないため外来通院で行うこともできるため、「結石」が「腎臓」を出てすぐあるいは「膀胱」のすぐ手前にある場合は、良い適応となります。

 

「腎臓」と「膀胱」の中間くらいにある場合は、「経尿道的尿管結石砕石術」(TUL)の方が効率的に「尿管結石」を割ることができます。

この治療法は、主に全身麻酔あるいは下半身麻酔で行うため入院が必要になります。「尿道」から細い「内視鏡」を入れて、「膀胱」からさらに「尿管」の中までをモニター画面に映し出します。

やがて「尿管」の中にある「尿管結石」が画面上に映りますので、「レーザー」や「超音波」などが出る細い端子を内視鏡から挿入して、画面上で見ながら「レーザー」や「超音波」を当てて結石を細かく砕く方法です。多くの場合治療が一度で済むため効率的ですが入院が必要になります。

 

尿管結石の予防、注意点

「尿管結石」の成分は全て同じではありません。8割程度が「シュウ酸カルシウム」や「リン酸カルシウム」というカルシウムを主成分としており、これらの結石は特別に有効な予防薬などはありません。ただし、「高尿酸血症」(痛風)や「肥満」などの「生活習慣病」があると体質的に結石ができやすくなるので、第一の予防は「生活習慣病」の管理ということになります。

そして第二の予防は脱水にならないように普段から水分摂取を心がけることです。毎年、夏の暑い時期になると「尿管結石」による「仙痛発作」に苦しんで救急で病院に運ばれてくる方が増えます。汗をたくさんかいて水分を摂取せずにいると、一時的に非常に強い脱水状態になると尿がとても濃くなり、あっというまに「腎臓」で「腎結石」ができて「尿管」に流れてきて「尿管結石」になるのではないかと思っています。

 

また「尿管結石」のなかには「尿酸結石」や「シスチン結石」という特殊な成分ものも稀にあります。「尿酸結石」は尿が酸性になるとできやすくなるため、尿がアルカリ性になるような食べ物を食べることで予防になります。また尿をアルカリ性にする薬を飲んだ方がよいこともあります。当然ですが、血液中の尿酸が高くなる「高尿酸血症」で出来やすくなるため、尿酸が上がらないような食事にすることも重要です。

「シスチン結石」は、生まれつきの体質のせいで、尿の中の「シスチン」という物質の濃度が非常に高くなりできる結石で、薬を飲むことで結石を溶かしたり予防することが可能です。よって、もしも「尿管結石」が尿と一緒に自然に体の外に出てきたり、治療をして割れて出てきた場合は、結石の一部を「結石分析」という検査に提出して成分を調べるようにしています。

 

全ての結石に共通して予防効果があるのは、とにかく適度に水分を摂取して脱水傾向にならないように気をつけることです

私もあの痛みは2度とこりごりなので脱水にならないよう日々気をつけています!

 

泌尿器科専門医 石村武志

 

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