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前立腺結石

「前立腺肥大症」や「前立腺がん」、「腎結石」や「尿管結石」などの病名は聞いたことがある人がいるかもしれません。ただ「前立腺結石」となるとどうでしょう。おそらく泌尿器科医以外の医師でも知らない方が多いのではないかと思います。なぜなら、「前立腺結石」は、健康な高齢男性にもできる、ほとんど治療の必要のない状態だからです。ただ、最近は「前立腺結石」で、泌尿器科を受診される方が増えています。

 

前立腺結石とは

文字通り、「前立腺」にできる「結石」つまり「石」のことです。「腎結石」や「尿管結石」などは、尿の通り道にできる結石ということで「尿路結石」と総称され、よく知られます。でも「前立腺結石」という名前を聞いたことがある人はほとんどいないと思います。「前立腺」も尿の通り道の途中にあるので「前立腺結石」も「尿路結石」の1種なのかと思いますが、一般的に「尿路結石」という場合は「前立腺結石」は含めないことの方が多い気がします。

さて、「前立腺結石」とはなんでしょう。病気でしょうか?どんな症状がでるのでしょうか?そもそも「前立腺」てなんでしょうか?ひとつひとつ説明していきます。

「前立腺」は男性にしかない臓器です。男性が射精した時に出てくる「精液」は「精子」と「精漿」という液体が混ざったものです。「精子」はご存知の通り、男性の「精巣」(キンタマ)で作られる子種ですが、「精漿」は「精子」が動きやすいような環境を整えたり、「精子」に栄養を与えたりする役目を持った液体です。「前立腺」はこの「精漿」の成分である「前立腺液」を作っている臓器です。

前立腺はクルミのような形をしていて、尿道の一番奥、つまり膀胱の出口部分で尿道を取り囲むように存在します。つまり前立腺の真ん中を通って尿が出るわけです。歳をとると、男性ホルモンのバランスが崩れ、前立腺が大きくなります。その程度によって尿道が圧迫されるようになり、頻尿、残尿感、排尿困難、尿勢低下、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁などを引き起こします。これがよく知られる「前立腺肥大症」で、一種の加齢現象とも言えます。

また、日本人男性の罹患数第一位のがんが「前立腺がん」です。「前立腺癌」も「前立腺肥大症」と同じく、高齢の男性に多い病気です。逆に20歳〜50歳くらいの若い男性がかかる前立腺の病気といえば「急性前立腺炎」や「慢性前立腺炎」が知られます。細菌感染や血液の巡りが悪くなることで起こる前立腺の炎症が主体の病気です。

「前立腺」はこのように「精液」の一部を作るという、男性にとっては非常に大事な役目を果たす臓器です。ただし高齢男性にとっては、その役目はあまり必要でなくなっている反面、色々な病気のもとになる、なんとも悩ましい臓器なのです。

 

前立腺結石の症状、検査

さて、そんな前立腺にできる「前立腺結石」ですが、実をいうと50歳以上の男性の約半数に存在すると言われています。さらに高齢の男性では、大小含めるとほとんど全員が「前立腺結石」を持っていると言っても言い過ぎではないという印象があります。

また「前立腺結石」は、くるみのような形をしていて中心を尿道が貫いている前立腺の中の方にできるため、ほとんどの場合はなんの症状もありません。つまり、色々な病気ができやすい前立腺ではありますが、「前立腺結石」は病気ではない、と言ってもいい状態と個人的には思っています。

では、なぜ「前立腺結石」で泌尿器科を受診される方が増えているのでしょうか?それは、検診や人間ドックなどで「超音波検査」や「CT検査」をすると「前立腺結石」があることがわかるからです。「前立腺結石」はほとんどの高齢男性にあっても、ほとんど症候もないし病気というわけではない、ということを全員が知っているわけではありません。

「腎結石」や「尿管結石」と同じく、「尿路結石」の一種、ということで、「念のため泌尿器科を受診してください」となるわけです。さて、「前立腺結石」自体が問題な病気というわけではありません。

ただし「前立腺結石」ができるくらいの方は、年齢的に「前立腺肥大症」による症状で悩んでいたり、「前立腺がん」の検診を受けた方がよいことも多いです。そこで、もしもこのような方が泌尿器科を受診された場合は、せっかくですのでご希望があればそのような相談に乗ることが多いです。

前立腺結石の治療、注意点

また、ほとんど問題となることがない「前立腺結石」ですが、まれに症状が出て治療が必要になることがあります。それは、何かの拍子に前立腺の内部にあった結石が、前立腺の組織を破って尿道の方に出てくる時です。

多くの場合は原因不明の一時的な血尿となります。また、大きな結石の場合は尿道に詰まって、排尿の際に痛みが出たり尿が出にくくなったりすることがあります。やがて尿と一緒に自然に出てくることが多いですが、なかなか出てこない場合は内視鏡などで摘出する必要があります。

 

泌尿器科専門医 石村武志

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